仮面ライダー鎧武 第38話「プロフェッサーの帰還」・第39話「決死のタワー突入作戦!」
潜入ユグドラシルタワー!そしてまた姿を現す次のステージ…
新たなステージの幕開け
これが最後のステージになるのか?ついに、この問いが発せられました。
他人のためだけに戦うお前に 自分自身が思い描く未来はあるのか
戒斗から紘汰に突き付けられたこの言葉。ああ、ついに…
そうなんだよねえ。紘汰はなんも持たずにこんなところまで来てしまった。唯一、怒りだけはあるのだけれど。
ある意味で、最初にこの問いを乗り越えていないことが紘汰の特徴の一つなんだと思う。普通。おどろくほどに。
普通の青年が優しい怒りだけでここまでヒーローをやってきた。じゃあ、その次は?
この問いに答えを出したとき、紘汰の乗るステージはさらに上がる。そう、もしかしたら、後戻りがきかない場所へ。
…笑顔の舞と交互に画面に映るシーンに不穏な気配を察知してわたしは怖い。二人が隔たっているようで…
まあでもちょっと安心はある。このまま、成り行きだけで身を滅ぼすことになったら悲しすぎるからね…
さて次のステージへの切符は実はもう一つ。
ステージを上がるために
うおー、プロフェッサー凌馬マジうざい!誰か殴っていいぞ!…って思ってたら戒斗さんがやってくれた。もうこの終盤、戒斗の評価がウナギ昇りだぜ…!
さて。
そんな半パンプロフェッサーが、これまた核心をつくことを紘汰に告げました。
キミはいろんな人の絆に縛られ過ぎて散々な目に遭っているだろう
(中略)
罪の意識に苛まれることのない冷酷な人間になれたら キミは今抱えているすべての苦悩から解放されるんだよ
うわー、これやるのか!!!
「絆」。ここ最近、よく耳にする言葉です。人と人とをつなぐ、素敵な言葉ですよね。
でも。
そう。人との縁は、ときに、自分を縛る枷になる。
それを捨ててしまえば、人は、もっと自由になれる。解き放たれて…彼岸へと飛び去って、神にすらなれるのではないか?
これもまた次のステージへの切符なのでしょう。そう、紘汰は選択を迫られている。つかんだ力をどう使うのか?世界をどうやって救うのか?
んで。なんで「うわー!」なのかと言うと。
わたし、このブログで『鎧武』が始まったばかりのころにこんな記事を書きました。
仮面ライダー鎧武における「運命」の意味について - double standard
実はここで、書こうと思って止めたテーマがもうひとつあるんです。
それが「絆」。
『鎧武』における「絆」
わたしは記事で、『鎧武』で語られる「運命」とは、あまり大きなものではないのかと提言しました。世界のルールとして与えられたものではなく、小さな選択や障害が積み重なって進む道が決まって行ってしまう。そんなものではないかと。
その進む道を決めてしまう要素の一つに、「絆」が見え隠れしている、とわたしは感じたのです。
「絆」という言葉を聞くとわたしはいつも連想する小説があります。イギリスの小説家モームの自伝的作品『人間の絆』、原題はズバリ『Of human bandage』です。
別にライダーと共通する要素があるわけではないので読まなくていいですよ。ただ、この小説では「絆」が特に素晴らしい、いいものとは描かれていないということが紹介したいのです。
主人公は、ほかの人間との出会いや付き合いからどんどん人生の綾に巻き取られていきます。ときに絆は主人公をしばりつけ、ひどい方向へと追いやってしまいます。それでも、人と人とのつながりから避けて生きていくことはできないし、その自分ではどうしようもない流れの力によって作られていくのが人生というものなのだ…まあ、そんな風にわたしは解釈をしているのですが。
『鎧武』で登場人物たちをヒーローに押し上げていく力のひとつが、これじゃね?
…と考え付いてはいたのですが、さすがに言い切るには時期尚早かと見送ったアイディア。それが…まさか…マジで作中に出てくるとは!
ああ、言っておけばよかった!やっぱり思いついたら言っておけばよかった!
それにしても。やはり『鎧武』は人の世の物語というか、歴代とは色が違うなあと思います。
さて、あとはだらだらっと感想です。
壊れかけの光実
幻覚見えとる…
幻覚と言うか、あの貴虎は分裂した自我なんだろうな。
そして舞を手中におさめても結局満足の気配はない。ってことはやっぱり、光実の動機は「欲しいものを手に入れる」じゃないんだ。「自分の正しさ」の証明か。
これ、兄貴が帰ってくるだけではもう止められないと思う。
兄貴が帰ってきて抱きしめて謝ってやることと、もうひとつ、人類に犠牲を出さない形で事態を収束させる。が条件だ。
っつーことは、やっぱり光実を救ってやるには貴虎と紘汰の二人が必要ってことかな…
しかし、紘汰にトドメを刺さなかったのって、あれ作劇上の都合とかつまんない理由だけじゃないよね。
「アンタみたいなクズを対等な存在とは認めない」って態度だよね…
ぼくらの街を守る者
ビートライダーズ共同戦線!っかー、ぐっとくるー!!!
「おまえら…!」
からの、紘汰の表情がマジでいいな。笑顔が一瞬浮かんだ後に、スッと真顔になるとこ。
ありがとう、じゃあないんだよね。
しかし本当に、あのうろたえてばかりいた紘汰が…イニシエーションとしてはあまりにも過酷なものばかりで、単純に「いい男になったね」なんて言えないのだけれど。
人がヒーローになる過程を一緒にすごしているんだな、と感じます。
しかしよく考えれば背後の事情とかまったく知らせてもらってないのに「敵か!」って認識だけで変身してくれるザックは本当にイイやつ。
子ども雑誌あたりで「仮面ライダーナックル外伝」とか作ってもらってもいいと思う。普通にヒーローしてるのあいつくらいだよ!
湊さんは完全にチームバロンの一員になりましたなー。三人同時変身ですよ。
チームパティシエも「ここで退いたらオトコがすたる!」って姿勢、イイですよ。ただ、残った二人をスローモーションで撮るのやめてくださいね。怖いからね。
誰よりも強い人
というわけでわたしはとても舞が好きなのです。
裏切られたからって、信じちゃいけない理由にはならないよ!
この言葉の真の強さ、若かりしあのころのわたしにはわからんかったなあ…
しかしロシュオの前に引き出され、そしてクイーンが目覚めの儀式を執り行われている…
そろそろ舞の巫女としての役割が明らかにされそうだ…