double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

RIDER TIME 仮面ライダー龍騎

いま、「龍騎ナイト」(ビデオパス)を見終わったテンションでこれを書いています。

現地には行けなかった…いや、立ち見なら取れたんだけど、肉体的にもう無理だったんで…

 

いやー、遅れてきたファンとしては、リアルタイムで『龍騎』の物語が新たに紡がれ、イベントが開催されるというのは、本当に興奮することなんですよ!

 

あ、ネタバレするんで未視聴の方はお気をつけて下さい。では以下。

 

井上敏樹×『龍騎

全三話ということなので、ストーリー自体を複雑にすることはできないし、小説版と同じ感じになるかなーと思ってたら大当たりでした。

結局のところ、敏樹御大は『龍騎』を真司と蓮という二人の男の物語と位置付けてるんだと思うんですよね。

まったく同調する部分のない男二人が、たった一つの残酷な縁によって、かけがえのない情を結ぶ…

それは間違いなく『龍騎』の魅力のひとつであり、本編・映画・TVSP・小説とさまざまな媒体でさまざまな形で描かれてきました。今回、RIDER TIMEという器において、また新しくそして見知った二人の姿を見ることが出来たのは喜びであります。

 

しかし、本編の裏返しというのには参りました!ひー、それを17年越しにやるのか!

 

印象的な場面

つらつらと。まあいっぱいあるんですが、第一話のラストが引っ張って引っ張った真司と蓮の邂逅でフィニッシュ!には胸を抑えてのたうちまわりました。『龍騎』!あまりにも『龍騎』!

敏樹御大のこういう演出力は本当にたまりませんね。

 

「ろーん!ろーん!」「…蓮だ」とか、やりとりもいいんですけど、なにより須賀さんの演技が当時に寄せて来ててそれだけで感無量でした。声のキーが高いんですよ!すごいなあ役者さんって…

 

めくるめく世界は…まあ、敏樹御大だしな…みたいな目で見てました。というか、今回は女性がいないし愛憎劇はないかなーと思ったわたしが愚かだった。なぜ男女関係しか性愛はないと思った!そういう固定観念がダメなんだ!(自己批判

敏樹脚本はベースに人の営み・本能が貫かれているところが特色ですよねー。

まあ、旧キャラ同士でそれをやっちゃうことには否の意見も多かろうと思うのですが、わたしは上記のごとく「敏樹脚本だー」って思って眺めてしまうので。

わりと芸風が見られるのを喜んでしまう傾向があるので、もしかしたら井上敏樹ファンなのかもしれない。

 

吾郎ちゃんは、そうきたか!と。北岡先生の不在をうまく料理してきましたなあ。

17年越しに吾郎ちゃんの忠義が叶ったのかと考えると、感慨深いものがあります。

 

一方で浅倉は、死に場所を探していたという蓮の指摘にはなるほどと感じました。

 

というのは、RIDER TIMEの世界って、つまりは本編とある程度地続きな世界になるわけで。そこで前世(?)の記憶がよみがえったりよみがえらなかったり、って感じかなって思うんですが。

本編最終回では、優衣ちゃんの祈りによって、ライダーバトルの存在しなかった世界が選び取られました。そこでは、少し殺伐とはしながらも、手塚も生きていたり、浅倉が収監されずに街をぶらぶらしていました。それはつまり「平和な世界」と言い換えても良いと思います。

それは視聴者にとって救いのような悲しいような景色ではありましたが、ちょっとした疑問もありました。すなわち、浅倉は結局、ライダーバトルがあろうがなかろうが危険な人物ではないのか?大丈夫か?という問題です。

だから今回、「平和な世界」で浅倉みたいな男がどう存在するのかって結論みたいなものを出されたなーって思いました。

 

考えてみれば本編でも浅倉は、あれだけ望んだ北岡先生との決着をつけられず咆哮を上げて死んでいったわけで。戦いに生きることも、死に場所を得ることも出来ず、最後には必ず破滅してしまう、それが浅倉の宿業なのかもしれません。

しかしあらためて感じるけど、現代社会に置くには明らかに問題のある人物だ…

 

真司と蓮

頭の中で誰かの声がする蓮と、もう一度会いたい誰かを探す真司。

視聴者からすると、その正体は即座にわかるわけですが。しかし、最終話、それを二人が悟るシーンは、ただの答え合わせに終わらない。

かつて「戦わなければ生き残れない!」と戦いを推進しようとしていた蓮が、真司の声により、「このバカげた戦いを止めたいだけだ」と行動し。

かつて「こんな戦いやめろって!」とひたすら善意だけで行動していた真司が、誰かに会いたいという気持ちの方が心の中を大きく占めていた。

 

本編の裏返しなんですよ!!!

 

そして、お互いの存在がお互いの生きざまに深く根差して行動すら変えていたんですよ!!!

 

最後の決戦、すごく丁寧に戦いが描かれていて、そこも印象的でした。いや、この三話全体、カードの選択とか応酬が細かくてびっくりしたんですけど。どうした敏樹氏…17年前はけっこうその辺雑だったのに…

 

真司(リュウガ)がソードを選べば、蓮も選ぶ。蓮が攻撃を選べば、真司がガードを選ぶ。その攻防はひとつひとつ相手を確かめるようで、会話をするようで、戦いと言うのがただ暴力で終るのではなく、思いをぶつけあう場でもあると言葉静かに語るようでした。

 

蓮を看取る真司、というのはTVSPでもあったはあったんですけど、やっぱり、本編の裏返しっていうのがこちらは強いですね。

「また喧嘩だろうけどな」って、40のオッサンが言う会話かよ!でもそう言っちゃう二人なんだよ!

あの時、嘆きを吐露することしかできなかった蓮を考えると、彼にしてみれば真司を助けられて良かったのだろうな。

蓮が真司に恵理さんが「幸せかどうか」見てきてほしいって頼んでいたことには胸が締め付けられました。そして、その意思を継ぐため、ただ眺めて、去っていく真司…

 

(ところで、本編から地続きであれば、恵理さんは元から人質に取られてないことになると思うのですが、この辺は前世の記憶が混ざったということにしておいてOKでしょうか。

まあ、制作側も設定をキチッとしたいわけでもないだろうから、深く考えるつもりはありません)

 

雑踏の中、遠ざかっていく主役の背中を映して無音で終る様は、あまりにも『龍騎』で……また胸の中に穴が開いたような、それでも美しいものを見せてもらって満ち足りたような、葛藤のある想いになりました。

ああ、『龍騎』を見たなあ、と……

 

新主題歌 Go! Now! ~Alive A life neo~

これがまたカッコイイ!シングルカットしてほしい!

歌手が松本梨香さんってのもありますが、かつての主題歌「Alive A life」を彷彿とさせるメロディと歌詞で、この辺の「似てるようででも別物」を作る技術は本当にライダーお家芸になりましたねえ。

 

無音のラストカットからのこのEDは、全身の血がウワッとなる感覚があり、正直なところわたしにとって、一番当時(リアルタイムじゃないけど)を蘇らせてくれた要因になってました。この胸がもやっとするような、締め付けられるような、不思議な切なさはなんなんでしょうね…

 

そして歌詞がまた良い。

「いまにも あの痛みに 心が折れそうでも

 案外思ってるより ぼくらは強いものだぜ」

ただの新作じゃなくて、「Alive A life」の、『龍騎』の17年後の返歌という意味が感じられて、2019年に聴く曲になっていて、すごく好きな曲になりました。

 

しかし松本さんは変わらずパワフルな歌声だなあ…すごいや…

 

龍騎』への想い

相変わらず長い文章になりましたが、この辺で。とりあえず書き切ろうと思って書いてるのでまとまってなくて申し訳ない。

 

冒頭にも書きましたが、本編が終わってからファンになった身としては、リアルタイムで新作やイベントに接することができてついに宿願が叶ったという感想です。

今はネット配信でイベントもチケット取れなくても見られるし…すごいことだ…

17年愛し続けた方にとってはまた違った感慨があることでしょう…

 

さてこれでお祭りは終わり…というところですが、やぱりなんだか名残惜しい。

龍騎』はきっちりと終わっているので、変に続編を作って蛇足になってもなあという気もするのですが、でも新作と言われると嬉しい。

というわけで、ずっと敏樹氏のターンが続いてるし、靖子さんver.で新作出すのはどうでしょうかね白倉P!よろしくお願いします!

 

などと欲望全開を叫んで終わる。

 

追記:

それにしても…風の噂でこの脚本を敏樹氏は3日で書いたって聞いたんですけどマジなのか。そもそもオファーから撮影開始がめちゃくちゃ短い期間だったって聞いたけどマジなのか。

17年経ってもギリギリさは変わんないんだなあ…