double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

女の子は仮面ライダーになれるのか? 〜仮面ライダードライブ第7話&第8話感想

タイプワイルド!ドア銃!半ドア(声に出して言いたい日本語)!
そして男の友情、記者の魂、チェイスに見えるロイミュードの複雑さ…と見所の多い回でしたが。
この回で、「おおっ!」とわたしが気になってしまったのが、霧子ちゃんなのでした。

というか、この作品におけるヒロイン格のポジショニングに、ですね。

記者とカメラマンという「相棒」という枠組みの友情にからめて、この回で描かれたのは進之介と霧子の関係性でした。
そう、霧子ちゃんは「相棒」。主人公である進之介と対等な存在であるのですね。
思えば3・4話でも霧子ちゃんは、守ってもらう立場ではなく、進之介と同じ立場で敵に立ち向かっているのだ、と行動していました。それは決して片意地から出たものではなく、詩島霧子という一人の存在としてのアイデンティティに根差した行動でした。
主人公の引き立て役ではなく、また、主人公とは別の角度から作品に光を当てる存在、でもなく、主人公と肩を並べるヒロインというのは珍しいのではないでしょうか。

それでですね。わたしは、第8話を見て、なんかとってもスッキリしたのですよ。
ああ、女の子が仮面ライダーになったんだ、と。

以前、こんな記事(女子高生仮面ライダーに意味はあるのか)を書きました。とある批評に触発されて書いたものですが、やっぱり女性のライダーファンとして気になるテーマではあります。
スーパー戦隊プリキュアもあるのに、なんで仮面ライダーにこだわるんだ、と問われれば、それはそこに「孤独」があるからです。どうしようもない個としての孤独を抱え、その孤独と向き合って戦い続ける姿に共感を覚えるからです。
ファムはすぐに死んでしまうし、恵イクサはすぐに限界を迎えてしまう。ミサちゃんはメイジになれたけど、あまり孤独の葛藤は描かれなかった。
いつか実現する日は来るのだろうか、そしてそのときはどんなふうに描かれるのだろうか。そう考えていたら、思わぬ方向からそれは訪れたのです。

霧子は進之介・仮面ライダードライブと対等の存在である。つまりは、クウガ』における一条刑事です。
守られるのではなく、ともに戦い、ときにその重荷を背負う――背負いきることは出来なくとも、一緒に受け止めていける。
ヒロインでもそんな子はいたじゃないか、と言われそうですが、でも、やっぱり、主人公と距離がある。
ハナさんは腕っぷしは強いけれど、電王が背中を預けたかと言えばそういうことはない。亜樹子ちゃんは所長としてチームの一員だけど、翔太郎とフィリップのある意味の一心同体さには割って入ることはできない。舞は紘汰と同じ道を選んだけれど、どうしても「支える」という役回りでしかなかった。

霧子になら、たぶん進之介は背中を預ける。あるいは、死地を託すかもしれない。「相棒」として認識するということは、そういう相手にするのだと覚悟をすることなのです。

もちろん、彼女は仮面ライダーにはなれない。噂では第二のライダーは…いや、それはここではやめておきますが、やはり、彼女ではない。
また、この先ライダーの力に対する葛藤があったとして、結局、彼女はその当事者になることはできません。
でも、今まで仮面ライダーに変身できた女性の中に並べてみて、一番最前線に立っているのは彼女だ、と言えます。
脇筋の存在ではなく。メインテーマに関わる立場で、仮面ライダーと一緒の行動がとれる

それがつまり、「女の子が仮面ライダーになる」ということにほぼ達しているんじゃないのか?

ああ、わたしはこういう女性が見たかったんだ、と第8話の霧子ちゃんを見て思いました。
「平成仮面ライダー」というシリーズに、自分も存在できるのではないのか、と。


まあたぶん、そこまで深い考えで霧子ちゃんが相棒になったわけではないと思うんですけどね。
ただきっと、「ヒロイン」や「相棒」について、いつもと違うことをしたい!と考えを練ったんだろうな、と感じます。
でもそのおかげで、新しい扉が開いている!開きかかっているんじゃないの?と指摘したいという話です。
試行錯誤によるブレイクスルーが見られるのも、シリーズとして続く醍醐味ですね。
ヒロインやアイテムが主人公と対等。『ドライブ』、攻めてくるぜ、というところでもニヤリとしています。
さて、あと第7・8話の感想として一言付け加えておくと、気になるのは、チェイスの言葉「俺は人間は殺さない」だなー。仮面ライダーは殺す、ということは、仮面ライダーは人間ではないのだろうか?
これからも目が離せませんな!