double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

仮面ライダー鎧武 関連本いろいろ

ひとまとめにしてしまいますが、『鎧武』関連本感想です〜。
『鎧武』は登場するライダーが多いのもあって、例年以上にムック本が出ている印象があります。
俳優さんにフィーチャーしたのもあれば、設定にフィーチャーしたもの…
わたしは「どうやってこの作品が出来たのか?」というあたりの情報が欲しくて、そのあたりと思われるものを選びました。

仮面ライダー鎧武 ザ・ガイド


出版社: 講談社 (2014/3/21)
ISBN-10: 4062189100
ISBN-13: 978-4062189101

たぶん一番最初に出たムック本。あと、スポーツ報知の号外があるけど、ここでは割愛(感想はこちら)。
見所は、早いうちに語られる脚本家の虚淵玄による『鎧武』の創作秘話と、人気作家の描く駆紋戒斗外伝ですね。個人的にはダンスの監修をされたコリオグラファーさんのインタビューがあるのがGOODでした。当たり前だけど、鎧武とバロンのコリオグラファーは別の人なんですよ!

実は、最初は買うつもりなかったんですよねー。ちょっと「虚淵玄フィーチャー」すぎて。わたしはあくまで「平成ライダーファン」なので。
けれど、放送が進むにつれて、やっぱり脚本家のインタビューを押さえておきたいなあと思うようになり、購入しました。ブラーボの役割とか、ミッチの行く末とか、情報が入っていた方が整理できそうだったので。

後から『鎧武』のファンになった方にも、初期の手探りな硬い空気が伝わって良いかと思います。
最終回を知ってから読むと、なかなか唸る部分は多いですよ。

スピンオフ小説は、好みは人によるかなー。わたしには、やっぱり正史っぽくないなあと感じられてしまったので。細かいファンだな本当に!

ACT-Heroes(ハイパーホビー増刊)


出版社: 徳間書店(2014/9/2)(増刊号なのでバックナンバーはなさそうです)
ASIN: B00MV26OPK

見所は、最終話付近での各キャストへのインタビューと、野岳さんの対談三本勝負(スーアク高岩成二・アクション監督石垣広文・プロデューサー武部直美)。この対談相手のチョイスがさすがハイパーホビーと言えるでしょう。

キャスト本はいいやーと思っていたのに、紘汰のファイルが付録でついてくると聞いて、思わず購入してしまいました…
ちなみに、期間限定で誌上通販により、さらに戒斗・貴虎・光実のファイルも手に入るという企画でした。(わたしは紘汰のみ)

時期的に舞を中心とした関係性に注目が集まっており、ピンナップもそんなのなので、あの辺の雰囲気にぐっと来た方は探してみていいかもしれません。

見ている最中は映像に集中したいので、実は積極的にインタビューを読まないようにしているのですが。しかしやはり、こう激動するお話だと、そのときどきでのインタビューと言うのは臨場感があっておもしろいですね。

仮面ライダー鎧武/ガイム COMPLETE TRACKS


出版社: 徳間書店 (2014/10/28)
ISBN-10: 4197301332
ISBN-13: 978-4197301331

これはかなりオススメ!
雑誌『ハイパーホビー』誌上で掲載された『鎧武』関係のインタビューがすべて収録されています!さらには雑誌撮り下ろしでキャスト×虚淵玄さんの座談会も!
いやなにがいいって、コラボ回のときのキャストインタビューがあるってことですよ。たっくんとか士とかジローとか、そしてなにより初代仮面ライダー藤岡弘、さんとか!監督×スーアク・高岩さんとか。
あと、ライターさんのコメントが随所にあるのもわたし的にGOOD。なにせ、ずっと平成ライダーを取材されている方々ですからね。目の付け所、感想に「へー!」って思うし、現場の雰囲気とかも伝わってきて楽しいです。
そのほか佐野岳×小林豊仲良し対談とかもありますよ。

個人的な見所は、やはり、重みのある藤岡さんと緊張気味の佐野さんの対談。それから、小林さんが店員さんに丁寧に接しているのを見てさっそく真似をして取り入れたという佐野さんのほっこりエピソード、あとつどつど他人の物まねを入れてくる半田健人さん、などでしょうか。あとわりと監督さんって単体でインタビューされるのが多いので、誰かと対談っていうのがいろいろ面白い話が聞けて良かったです。

『鎧武』はコラボも多かったし、他のライダーと絡む映画もたくさんやったので、いち平成ライダーファンとしてもおもしろいムック本となっていました。
あ、あと時期の関係で『ACT-Heroes』では途中で終っちゃってた各話解説が最後まで網羅されているのもポイントかと思います。

仮面ライダー鎧武/ガイム 公式完全読本


出版社: ホビージャパン (2014/12/13)
ISBN-10: 4798609331
ISBN-13: 978-4798609331

そしてやはりこれ。『電王』から発売されていつの間にやら番組集大成として定着した公式読本*1です。なにはおいてもこれは買うよ!

キャストはもちろん、各監督・各脚本家をはじめデザイン・音楽・視覚効果・おもちゃと関連するすべての関係者に取材されております。読みごたえがあるんですよね、これ。
『鎧武』はどこもかしこも新しい挑戦だらけなので、特に視覚効果やおもちゃなど、「へー!」と思うことたくさんです。

高杉真宙さんがかなりノっていて爆笑の連続でした(笑)。光実と貴虎にボロクソ言いすぎです(笑)。呉島兄弟ファンは読むといいと思います。
というか、他のムック本だと放送中だし販促的にみなさん前向きなことばかりなんですけど、この本だと全部終わっているためか、ぶっちゃけた態度が出過ぎです(笑)。
そうだよね…貴虎とか凌馬とか、正面からのエピソードがあんまなかったから、確かに冬映画がなかったらちょっと締まらなかったよね…

いま、ぐっときたところを引っ張ろうとしたんですけど、それやったら一ページごとにくらいの勢いになりそうなんで、やっぱりやめます。
全体を通して感じるのは、関わるすべての人が挑戦していたんだな、ということです。
フルーツ×鎧というモチーフ。それから、作家が実写畑でないからこその提案をしてくる脚本。横糸がほぼなく、縦糸だけ、しかもその縦糸が仮面ライダーそのものと向き合っていた構成。新たな表現にみなさんまだびっくりしている、という感じを受けました。
また、役者のみなさんは本当にプロ意識が強い!任されたキャラクターをどう表現するか?だけではなく、作品の面白さにも貢献しようという姿勢が目に付きました。

あとはもうちょっと、デザイナーさんのお話が聞きたかったなあと思いますです。(要望)
これもオススメです!

読み終わって

さて、こうしていろいろ読みまして。
たいていは、読み終わると「こうやってできていったんだね!おもしろい!」ってな感じなんですけど、今作ではちょっと感想が違いました。
なんといえばいいのか…ワクワクするんです。
いち視聴者である自分も、作品作りに関わっていたような感覚がするんです。

ある場面で監督や役者が考えたこと。それが、作品を見たわたしの解釈とだいたい合っていたり。こうなるのかな…とわたしが考えたことが、本当ならそうならなかったはずなのに作品の進行に合わせて想像とほぼ同じことになったり。
いや、違います。答えが合っている、という喜びではないんです。
だいたい、答えが合っていたからってなんだって話ですからね。こと物語においては。

そうではなくて。
監督や役者、脚本家たちが仕掛けてきたことに反応することで、さらに彼らは刺激を受けて新しい発想を生み出す。
それは撮影から放送のスパンが短い東映作品ではよくあることだと言えますが、今回特にそう感じるのは、そのコミュニケーションがかなり頻繁にあったと感じるからだと思います。
平成初期の作り手と視聴者が手探りな状態での「挑戦」とは違い、ある程度のことが可能になっている状態での「挑戦」だったからでもあるでしょう。

なんかこー、『鎧武』を見て楽しんでいた気持ちが、最後にもうひと押しされたような感覚です。一方的に消費したんじゃなくて、ともに歩んで行けたんだなあ…と。

作品としてフォローできない粗は間違いなくあるんですが、でも『鎧武』が視聴者に向けた真っすぐさは、やっぱり他では得難いものだとあらためて思いました。

*1:ちなみに『ウィザード』では出なかったもよう。なぜ?