double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

『鎧武』第22話&第23話 簡単感想

有言不実行で申し訳ありません。なかなか身辺が落ち着かない…
とはいえこれは語らねば!
まとめる時間と余裕がないので、簡単感想です。なに言ってるかわかりづらくてすみません。


というわけで、第二章(でいいんですよね?)終了!怒涛の展開でした…
ヘルヘイムの森の真実は、相当なヘビーさ。ユグドラシル社はハイパーうさんくさいけど、まあ判断としては間違っているとは言えないんですよね。ベルトの量産に限界があるのも意図してのことではないですし、それゆえに人類の選別が行われるのも…
その重さの痛みに耐えようとする貴虎は確かに立派です。わたしだって貴虎を非難する気はどうしたってない。でもさ。
自分が…というか、もっと突き詰めていってしまえば、自分の大切な人が――いえ、ここはあえて言及しましょう。子どもを自分が持っていたら。7分の1から排除されますって言われて納得はできないよね。
そんなわけでわたしは素直に貴虎カッコイイとはいえんのだ。(否定しているわけではないですよ。逆に貴虎の立場になったら辛いもん。でもそこにカッコよさはあってはならん気がするのですよ)

とはいえ、だからといってユグ社や貴虎と対立ばっかするのも間違ってる。
22話の終わりで、さすがにわたしも歯がゆかった。気づいて紘汰!きみの怒りは正しい、だが、戦う相手はそいつらじゃないんだ!
戦うべき相手は――そう、不条理

DJサガラに導かれ、紘汰はついに自分が真に立ち向かうべき壁を知る。
そしていま、勝鬨の声を上げる!


現実は敵か

紘汰は視野が狭いというわけではないと思うんですよね。想像力がない…というのともちょっと違う気がする。
たぶん、健やかすぎるんですよ。知らなくていいことを知らない、っていうのは、そう悪いことではないと思う、わたしは。たとえば、人が人を傷つけたり、ね。
けれど、人を助けたいと思ってしまったなら、世界を変えたいと願ってしまったなら、知らなければならないことが増える。『鎧武』はそのプロセスの物語なのかなーって思います。

紘汰にイライラする人の気持ちもよくわかります。物わかりが悪いっつーか、察しが遅いというのは、身近にいても「ああん、もう!」ってなもんですからね。

でも、じゃあ紘汰は間違ってるのかっていうと、それは違うと思うんですよ。人が人を選別すること、それは本当はおかしいことだもの。
ユグ社がおかしいんじゃなくて、そうなってしまうそもそものシステムがおかしいってこと。

わたしたち大人はいつもこう言います。「しかたないんだよ」と。
クウガ』で五代はこう言いました、きれいごとの方がいい、と。
でも物語の中でその言葉はどこか悲しく、さみしげに語られました。なぜなら、大人は、そんな理想がふみにじられてしまうことを知っているから。
どうしようもない現実の中で生きることも一つの戦いであると、わたしも思っています。それもまた強く尊い行いだと。けれど、その「どうしようもなさ」に異議を唱えてくれる存在を、どこかで渇望してはいなかったか。

わたしが紘汰の肩を持っちゃうのは、紘汰が怒っているからです。なんつうか、原始的というか。あるべき姿論ではなくて、とにかく壊すという衝動。
じゃあどうしたらいいんだよ、代案を出せよ!というのは、まあそうなんですけど、そこまで冷静な話ではなくて。
わたしは理想論や勧善懲悪はキライなんです。なんでかっていうと、それは一面では人を型にはめかねない考えだから。
紘汰はまず壊したい。人を「そうさせてしまう」枠組みを。
一足飛びに答えに到達するのではなく、初期衝動を捉えきろうとする、そのひたむきさに肩入れしてしまうのですよ。


力は救いか

映画では毛利さんが丸く収めちゃいましたが、そうなんだよなあ、「守るための力」なんてちゃんちゃらおかしいんだよ。だって、力はどこまでいっても力で、人を傷つけるものだもの。だから五代も巧も真司も絶望の淵に立ったんだ。

紘汰のこれまでのヒーローたちと違うところは、アイデンティティの話じゃないところかな。許される/許されたい・救われる/救われたい、っていう発想はたぶん彼にはない。そこまでナイーブではないというか、基本的にポジティブだから、目先に飛びついちゃう。「オマエに資格があるのか!」って問われても、「ないかもしれないけど、今目の前のこの危機をほっとけるか!」って答えちゃう。
まあ粗雑なんだけど。でも肩持っちゃうのは、紘汰がちゃんと傷ついているからなんですよ。自分に酔ってない。自分が人を殺していることを知らされて、彼が一番気にしたのは、殺した相手のこと。

それじゃあ裕也が報われないじゃないか…!

一度汚れたこの拳、ならば汚れて人を守る……んじゃなくて、

確かに俺は過ちを犯した。
だからこそ、同じ過ちが繰り返されるのを見過ごせない!

自分のため、ではないんですよね。

たぶん、「自分」にそこまで縛られてないんじゃないかなー、紘汰。昭和のデフォルメされた正義感のカタマリ、というのとも違う。
『ウィザード』の晴人と同じものを感じる。普通。普通の人
ただ、晴人くんより子どもだから、いちいち全部ぶつかってて、そこで自我の輪郭が出来て、だんだんキャラが濃くなっていっている。
すっげえイマドキのヒーローだと思います、紘汰。今求められているヒーローというのではなくて、今ヒーローが成立するとしたらどんな形になるかっていう意味で。以前、晴人を普通の人がヒーローになってて、それがすごくヘンって主張をしたものですが、なんかそれがさらに進んでる。
…あ、そうか。わたしが紘汰をなんで好むかっていうと、紘汰にはまだ理想がないからなんだ。すべてに対してフラット。だから応援できるんだな、きっと。

紘汰がブレて見えるっていうのは、たぶん、相手にぶつかりたいとそう見えるのかな。
紘汰が紘汰なりの正義を持ってくれていれば、それに対して肯定も否定もできるけど、まだ紘汰はいっこいっこ確かめてる段階だから、ぶつかれなくてモヤモヤしちゃうんじゃないのかなあ。
でも、もしかしたら、もう正義についてぶつかり合う時代じゃないのかもなあ。

まあ正直、一話一話の見せ方はビミョーなとこがあるし、テレビ番組として楽しめてない人の気持ちもすごくわかるんですけどね。武部P作品はどうもツボを外しがち。それにわたしだって『鎧武』の世界観そのものに対してはガイドブック買うほどにはハマってはいないし(レビューの予定はいまんとこないっす)。しかしこのテーマの扱いと展開がとても興味深いのだ。
いやあ、見始めのころはここまでやるとは思っていなかったよ。嬉しい誤算だね!

最低だ、俺は…!

紘汰の涙はきれいだな…たとえていうなら、『オーズ』最終話の比奈ちゃんくらいピュア。


勝鬨の声

そんでもってカチドキアームズが超かっこよい。わたしの中で上位食い込みました。ごめん、ずっと「オレンジ(笑)」って言ってて…
重量ある感じがいいですね!胴回りが太いところとか。頬当てがあるとか、めっちゃ鎧兜!ちょっとフィギュアで欲しい、飾りたいとか思ってしまったもの。端午の節句に合わせたら売れるんじゃないかな、プレミアムバンダイさん…
しかも旗で戦うとか、痺れる!なんて渋すぎる立ち回りなんだ…もっとやってくれ!

…いや、わかってるけどね。どうせ二回くらいしかやらないんだ(含む映画)…
『鎧武』は武器のチョイスが超シブいのに、アームズの種類が多すぎて出番が少ないのがガッカリだよ!キウイアームズのあの円形の刀、もっと使ってくれよ!

いやあ、火縄銃も超かっこよかったですね。火力!火力は正義!(危険思想)ちょっと欲しくなったからね、おねーさん。
でも、スクラッチしたのには硬直したね。お、おお、そうくるのか…
そして使い方はCMで知る、と。

雲霞のごとく押し寄せる黒影にビクともしない、さらには火力で殲滅とか、盛り上がった!
おしむらくは、スカラーシステムの停止が意外とあっさりだったとこだけれども。やはり大爆発くらいしてくれないとスッキリしないぜ。

そんでもってついにユグドラシル社のシステムではない力の顕現ですよ。これまでずっと、武具の取り合いの戦いだったのが、まったく違う次元の話になってしまいました。そりゃあ凌馬もプライドにひびが入るわ。
戦いは新たなステージへ。戒斗も独自の力を見つけるのかな?


さよなら、ミッチ

あ、ミッチ歪んだ。
そうかー。きみは結局、「きみの世界」を守りたかったんだねえ。
紘汰や舞や、チーム鎧武を守りたい…というのとは、少し同じで、まったく違ったミッチの動機。
でも、人は変わるし、願ったようには動かないんだよ…

ずっと子どもでいたかったのかな…

裕也のこと、舞に言ったら絶対気にするし、それくらい考えて行動するべき、っていうミッチの主張はその通り。
その通りだけど、言わないままでいるのも、舞の性格を考えるとヒドいことだと思うよ、わたしは。
大人の正しい賢さは、真実を提示するタイミングなんじゃないかなあ。


あ、あと背後に誰がいるのかは、普通に聞いたら普通に答えてくれそうな気がするよ、紘汰。