double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

魔法少女まどか☆マギカ

お正月休みに一気見しました!全12話、意外と一日あればいけました。
というわけで感想としては…おもしろかった!

なぜ今『まどマギ』なのか

まあ、世間的に「今」ではなくて、単にわたし個人の話なんですが。
やっぱり、『龍騎』関係者の方々が『まどマギ』を見て、「似ている」と発言されていたことが要因です。
ファンのみならず、製作者側がそう言うんなら、やっぱり気になりますし。
そして、こないだ完結した『鎧武』のメイン脚本家が『まどマギ』の脚本家、ということで、やっぱりこれは見なければならないだろう!と。
『鎧武』放映最中だといろいろ気になっちゃいそうだったし、終わったタイミングで、というのは良かったように思います。

いやあ、実のところここのコメント欄で勧められて、やっと見る決心がついたんですけどね。
だって…「深夜アニメ×美少女×魔法少女」だし。わたしはお客さんではないんだろうな、と敬遠していたのですよ、実は。
うーん、一応その昔少女だったからか、どうも少女がキャラとして無尽蔵に消費されているような気がして、構成員が全員少女って言われると引いちゃうんですよね…

とはいえ、ストーリーの展開で大きく盛り上がった、というのは聞いていて。気にはなっていたのです。

そして、結論から言うと…これ良く作ってあるな!!!
(ライダーに絡めた話は下の方にあります。スクロールスクロール)

構造の物語

いやはや。そうとう、練った話ですよねえ。
最近は余裕もなくなってアニメを見なくなっちゃいましたが、全話通じてこれだけストーリーに専念した話というのも久しぶりなのではないでしょうか。
しかもその内容が、「気持ち」とか「正義」とか、大きなテーマが主眼ではなく、本当にただ娯楽に専念しているというのも。

そんなわけで、少女キャラがどうのこうの、というのは、けっこうすぐ吹っ飛んでしまいました。

秘密がひとつひとつ解かれていき、最後には壮大なちゃぶ台返しが行われる。
一本の映画、一冊の小説、そんなようなひとつのまとまった作品をテレビアニメシリーズで見られるとは思いませんでした。

テーマ性はわたしはあまり感じられなかったかな。なにか主題がある、というよりは、設定を活かしおもしろい物語を作り上げるうえで、いくつかメッセージを帯びるようになった、という感じ。
「誰も傷つけずに世界を変えられるか?」という物語における永遠のお題に対する、見事にアクロバティックなアンサーのひとつ、だと思います。

魔法少女モノ?

魔法少女」と銘打ってはいますが、この作品での「魔法少女」っていうのは、それほど大きな意味はないですよね。
なんで女の子が変身するのか、っていうことを簡便にするための道具というか。
そのために借りてきている概念って感じがします。
で、なんで女の子なのかっていうと、その方がビジュアルがいいから(笑)

もちろん、作中ではそれなりの理由が付与されていますが、あまり正面から受け取る気はわたしはないかなあ。だって、地獄落としにするのに思春期がいいなら少女に限らなくていいじゃん。
魔法少女ってのは、つまりは魔女で、魔女というのはすなわち女性の神秘性に根差した呪術的存在なあるわけですが。この作品からはその「女性性」をあまり感じられない。そこはテーマじゃないんだろうな、って感じがします。アニメ史的な意味での「魔法少女」のパロディもないし。

この作品に関しては、「魔法少女」モノって言われるよりも、「SF」って言われた方がしっくりくるです。

だからかな。その分キャラの行動は完全に作品の構造と一体化しちゃっていて、もうあれはあれで完成しちゃっているような印象があります。
作品から切り離してなにかさせられそうにないなー、っていう感じ。
そういう意味もあって「魔法少女」モノ?と疑問符が付きますね。

ただ、じゃあキャラがお人形さんになっているかっていうと、そうでもないんですよね。
杏子ちゃんの決心とか、ちょっとじんときちゃったもん。
最後のまどかちゃんがすべての魔法少女を救いに行くところでは、ちょっと泣きそうになっちゃったよ。

とはいえ、与えられている役割も超ハードだし、いやあ、本当に、むしろよくみんなキャラ萌えできてるな!と。やっぱり、ビジュアルの持つ力は大きいなあ。

映像もきれいでした。特に魔女の結界とか、アニメだけではなく他でも見たことのないタッチで。
ああいうのが実現できるようになったのは、デジタルの時代ならではだと思います。
DVDなんで修正入ってるとは思いますが、本当に昨今のテレビアニメは画がきれいですな!

3話の衝撃の展開からEDが変わるのもおもしろかったですね。いや、1・2話のあの歌詞もわりと危ない気配があったわけですが。

ライダーと比較して

まあ、このブログではこれをしないと(笑)
とはいえ、もっとライダーオタク色が全面に出てきているかと思いきや、そうでもなかったですねー。
言われるほど『龍騎』に似ているとは思わなかったし。というか、これに関しては映画版を見た方がいいのかな?

龍騎』の大元であり華であるバトルロワイアルも、『まどマギ』では抑え目。
モンスターの魂ならぬ魔女の卵・グリーフシードの奪い合いも、それほど激しいものではなし。(ただし、この設定が出てきた瞬間は「『龍騎』じゃん!」と呻いたよ)
龍騎』を下敷きにしようとした、というよりは、似てくるのをなんとか引き離した、って感じがしました。

ところで、魔法少女になった時点で願いは叶うわけだから、神崎よりもはるかに良心的ですよね、きゅうべえ。

虚淵さんについて雑感

まどマギ』を見ての最大の収穫は、つくづく、この方は構造の人だなーという感を深くしたことでしょうか。
逆にファジーさに直面すると少しその魅力が削げるのかもしれない。
平成ライダー*1はファジーの塊みたいなもんだからなー。相当、苦労されたんではないでしょうか。

ただその分やっぱり台詞は堅いなー、物語の説明の側面が強いなーと思います。アニメーションだとあんまり意識されないけど。
や、つくづく、キャラ原案・蒼樹うめさんと世界観設定・劇団犬カレーさんのあのビジュアルは強いと思う。
台詞によってキャラが活き活きと輝く!というよりは、キャラクターを物語にガッチリ食い込ませて回していく道具、という感じ。
アニメっていうのは、キャラクターに全力を注いでいる印象がありますが(最近は特に)、虚淵さんはまず物語がありきなんだろうな。

ちょっと珍しいタイプの作家さんだと思うので、ライダー書いてもらえて良かったです。「脚本家」としては少々引っかかりますが。

うむ。しかしやっぱり、自分の目で見てみないと作品の評価なんて出来ませんな!見て良かった。

余談

むしろ連想したのは『地獄少女』と『ヤダモン』でした。

*1:高寺P作品以外ね