double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

仮面ライダーゴースト 第1話「開眼!俺!」・第2話「電撃!発明王!」

ヒーローは、一度死んでよみがえる・・・

やたらポップな画面に反して、かなりの冒険が詰め込まれております、17作目の平成ライダー
17作目…『クウガ』のころに生まれた子どもが高校生か・・・
それはともかく。

ちなみになぜ1・2話まとめてなのかというと、まあタイミングがってのと、パイロットは前後編であるから、というのでこうしてみました。

すさまじき第一話

ゴーストハンターだった父。彼の死後、自身も後を継ぐことを願いながら、しかし幽霊を見ることができないでいた天空寺タケル。タケルが18歳になったその日、まさにその父から謎のアイテムを送られる。
それを境にタケルは、己の命をも賭した戦いに身を投じることになるのだった・・・

予告風にまとめてみました。
こうして書くとシンプルに見えますが、その実、設定は盛り盛り。
だいたい、ゴーストハンターって?謎のアイテムって?
命を賭けた戦いって?
またそんな設定周りはともかく、周囲の人間関係は?そもそもタケルってどんなひとなの?
この辺、普通は数話かけるところですが・・・なんと一話に全部入れてきた!
しかも、説明くささをまったく感じさせない脚本展開、画面捌きで、もう見ている間中わたくし感動しっぱなしでした。

スタッフ進化しすぎだ平成ライダー!すごすぎる!

同じ意味では『ドライブ』にも感動しましたが、あっちはリアル路線だったので説明が少なかったのがアドバンテージにありました。しかし『ゴースト』は完全に逆に振ってファンタジー。もうここまでファンタジーなの初めてじゃないかってくらいファンタジー(魔法がキーの『ウィザード』よりもファンタジー度高い)でしかも独自設定多いのに、この捌きっぷりですからね。
脚本家の福田さんは、経歴は長いとはいえこんなワケのわからんシリーズに初参加でこの仕上げとはその腕前に感動を禁じえません。
諸田監督もパイロットは初。しかし力みすぎずそれでいて迫力ある画作りをされていて、ベテランの気合には興奮いたしました。初回であの海の質量感!映画か!

映画もそうだけど、とにかくやることがキッチリ決まっているときの平成ライダーはもはやすごいことになっているとしか言いようがないな・・・
いや、脚本家も監督もすごいのが土台にあるんだけど、やっぱり現場のノウハウの蓄積がすごいことになってるんだと思う。くう、映像がわかる人、ドラマの手法に通じている人に微細に解説して欲しい・・・この独自進化っぷりは語られるべきだと思う。

死人ヒーロー

いきなりマニアックに興奮しましたが。内容もこれはワクワク。
てゆーかしょっぱなから死ぬ主人公!えらいハッキリ死なせた!
画面はポップにしておりますが、あちらこちらにあの世のモチーフ(水を介した往還、彼岸花、蓮の花、白い羽、天空からの落下)が置かれていて、今作のPである高橋さんの本気がうかがえます。設定としてそう程度にさらっと流すのではなく、わかる人にはわかるように危険なテーマを扱うつもりだ・・・

死んだけどまあ、ではなく、気合を入れないとすぐ半透明になるという設定も本気度高いなあ。もう思いっきりこの人死んでますって言ってるもんね。
存在するって、すごいエネルギーなんだよね、本当は。(だから生きているということは何より強いのだ!)

末っ子長男的な

さてそのタケルくん。偉人を本気で尊敬しちゃってるあたりと、幼馴染に対する口調から、年齢の割りに少し幼さが残っている感じを受けました。でもそれはバカっぽい感じじゃなくて、この人の純粋さの表れなんだろうなあというのも感じました。
それはきっと演じる西銘駿さんの雰囲気なんでしょうね。実はド新人っていうので少し気を揉んでいましたが、大丈夫でしたね。台詞回しがもたつくところはありますが、ちゃんと気持ちが入ってる。そしてなにより、タケルという少年(まだ青年ではないような気がする)の「やわらかさ」を理解しているように見受けました。

みんなを守らなきゃ、お父さんの後を継いで英雄にならなくちゃ。その思いは悲壮感は薄いけど、それはきっとタケルが堅さをあまり持っていないから。気持ちは誰よりしっかりある。
ちょっと『電王』の良太郎を思い出しました。

っていうか、御成くんやあかりちゃんという強烈な人格に囲まれて、それでも自分が好きなものを守り続けているのは、芯が強い証拠だと思うよ。
もうごめん、二話くらいでタケルの肩を完全に持っている。脚本の福田さんすごいな・・・

二話で、電撃ネットワークの南部さん・・・じゃないや市井の発明家園田さんの「命を賭ける」に怒りを見せたように、一度死んだからこそ、タケルは人の命の重さを身を以て理解している。見た目どおりホワホワとしているだけじゃない。

仙人に翻弄されて泣き言もらしたり。彼の活躍、これからかなり楽しみです。

幽霊スタイル

んでもってゴースト。いやー、わざわざ暗くして変身させるとは、わかってるゥー!
パーカーから逃げ回っているのは笑った。敵も、待っていてくれているというよりは、呆然としていたんじゃないかしら、あれは。
ユルセンは解説役としてありがたいなあ。つうか、発音からして、つまりアレ(彼だか彼女だかわからん)は「ユルいキャラクター=ユルキャラ」ならぬ「ユルい仙人=ユルセン」なんですね。

武器はわりかし目新しくはないのですが、フワフワ飛ぶのが新鮮!出来れば全話この調子でいって欲しい!・・・わたしはフォーゼくんのジェット噴射動きが、初登場以降結局ほとんどなかったことを恨んでいるよ。好きだったんです、あの動きが。
あと、キックがゼロ距離炸裂って新しいなって思いました。アレは痛い。

ベルトの音声はm.c.A・Tさん。まさか『555』で歌っていただいていた人がベルトの音声になるとは…ご本人の感想が聞きたい。

それにしても、毎回しかたないけどどうにかならないかと思っていた、「初戦の相手を第一話で見事撃破と思いきや、二話目に再登場するのでなんかモヤモヤする」が、まさか「最初から怪人を二体用意する」で解消するとは夢にも思っていませんでした。いいぞ!

また戦いも、ゴーストは普通の人の目には見えない。というのは、現実のわたしたちのすぐ隣にあるのかもと思わせてよいですね。いやー、第一話のバイクアクションからの浜辺はかっこよかったなあ。タイヤからの映像とかあって。

おしむらくは、主題歌に乗って百人切り!が、ちょい出だしが乗りにくかったところ。何人か切ってテンション上がってから流して欲しかったなあ、なんて。

命燃やすぜ

歴代の脚本家が頭を抱えてきた「普通の人はキメ台詞なんか言わないじゃん」問題ですが。
タケルの「命燃やすぜ」は、キメ台詞というよりは、自分を鼓舞するための合言葉のような感じがしました。なんか、言い聞かせてるように聞こえたんですよね。
っていうか歴代の方々もその解釈で良かったのではなかろうか。*1

そういえば主題歌は氣志團さんですが、やっぱりこれは「命燃やすぜ」ってところからのコラボなのかな?
でも出来上がった曲は、思っていたようなアゲアゲではなくて、どこか優しいものになっていて、タケルの雰囲気に合っていてわたしは好きです。

愉快な仲間たち

とにかく竹中直人さんのスケジュールを一年押さえたところで勝ちだ。
っていうか、作品にあわせてもらうのかと思いきや、最初から竹中さんの能力大炸裂じゃないですか!すごい自由度だ・・・
仙人は怪しげだけど、某サガラのようにあくどさはないようで一安心。ちょいちょいのゲストで来るのかと思ってたら住み込みというのも意外でした。
とにかくどこまでエスカレートするのかとても楽しみです。
しかし日曜の朝から竹中直人と南部虎弾とかなんの騒ぎだよ。

御成役の柳喬之さんもまたこの若さでこのテンション維持はすごい。
ちょっとウザイという役どころなんですが、本人はどこまでも真剣だからつい笑っちゃう。彼がいると画面がすごいパワーを持つ。これは、良い人材を連れてきましたなスタッフ!
正直、御成がいると画面が締まってリラックスする自分がいます。
しかし今の若手さんはまじですごい人多いな・・・

ヒロインの月村あかりちゃん役の大沢ひかるさんもいいなー。
あかりちゃんも、ともすれば押し付けがましい女の子になっちゃうんだけど、引くところではちゃんと引くバランスが良いですね。脚本がしっかり描写しているってのもあるけど、大沢さんがそれを理解しているのも大きいと思う。
肝試しのときにタケルくんに惚れたんだなーってのがすごくわかる感じでした。しょうがない、あれは惚れる。
物理オタクだけど、そのオタク描写が定型じゃなかったのも好きです。いるわー、このタイプいるわー。
しかし苗字が月ってのが引っかかっております・・・何事もなければよいのだが。月は黄泉のモチーフだからして。

あと見習い小坊主に溝口琢矢さんは大興奮ですね。できれば一度くらい「俺、参上!」とか言って欲しいのですがどうか。たのむ!

というわけでスタート!

あとイグアナとかなぜイグアナとか、謎のイケメンも気になるけど謎の男の歯並びがすげえとか、いろいろ言いたいけどこの辺にしときますー。
とにかく捌きが見事すぎて震えております。しかし、しかし・・・あまりに捌きがテキパキすぎても、若干の物足りなさが。
なんたるゼータク!でも、それが平成ライダーの背負った宿命なのです。
ここからどこまで飛躍してくれるのか、一年見せていただこうと思います。
眼魂が15個で期限が99日って少ないから、これが第一章で、集めきったところで大転換かな?どうかな?

*1:あと『W』『ドライブ』の三条さんによる「キメ台詞をワザワザ言うのは主人公がカッコつけだから」は解としてかなり優秀だと思います。