double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

鎧武外伝 仮面ライダーデューク/仮面ライダーナックル

こんにちは。風邪をひきそうになったり、かろうじて食い止めたり、また風邪をひきそうになったり…という攻防を経てやっと更新です。
葛根湯とミニカイロとのどぬーるスプレーが友だち。

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まさかまさかの2が発売されました『鎧武外伝』。主役は凌馬とザック!
凌馬はとにかくインパクトがある役なので納得ではありますが、ザックは出世したねー。脚本の虚淵さんも「カタカナの名前のやつは脇役のつもりだった」てなことをおっしゃってましたし。こういうことがあるから、物語というものはおもしろいですね。

さて、1の方はほんとうに「こぼれ話」といった感じでしたが、2の方は世界観の拡張が見られました。デューク編とナックル編でつながりがあるし。
なにやら意味深な発表もありますし、鎧武サーガ、まだまだ楽しめそうですね。

デューク編

ストーリーは簡単にこんな感じ↓

謎のロックシードによる自爆テロが発生し、凌馬と貴虎がそれを追う。その首謀者はすでに死んだ凌馬の前任者だった…
沢芽市の影にめばえたカルト集団。彼らが目指すものとは?

裏路地の気配が、カラフルな本編とは違った、乾いた大人の世界を感じさせます。
お話は、ゲネシスドライバーがそろそろ完成しそうな頃のこと。斬月編と同じく、本編こぼれ話って感じですね。
それにしても漂う怪しげな雰囲気は、明らかに1とは異なります。個人の怨念といったものよりも、より根が深そうな…

だってさー、キーマンである狗道供界(しかしすげえネーミングセンスだニトロプラス)の凌馬に対する思い入れしかり、凌馬の貴虎に対する執着しかり。あと、凌馬の耀子やシドのスカウトの感じとかがさ。
つねに誰かが誰かを崇めているような人間関係ばっかりだよこの話!

にしても狗道が思いっきりカルト思想に両足突っ込んでてでうわーてなった。
やっぱり人間こう、いきなり現世とは違うものを見せられたら「俺が神になる」「導き」とか発想がぶっとぶんだよね…でもそれだいたい錯覚だからね…
そういう中で、紘汰みたいなやつがひたすら前に進んでいった結果として超越に至るというあの結末は実に正しかったなあ。
なんかねー、見ながら、ああやっぱり紘汰みたいなやつがステージを荒らしてくれて本当に良かった助かったなあ…としみじみしました。

ていうかなんで選ぶのが凌馬になるんだ。その時点でおかしいだろ。

あ、いま感想メモ見返したら「凌馬は恨み言いいすぎ」ってあった。貴虎くんも影でそこまでしがみつかれていたとは夢にも思うめえっていうか思わない人だからあんなズブズブなことに…甘い!兄さん脇が甘すぎる!
でもダブル変身はかっこよかった。
でもそのときの二人のかみ合わなさものすごかった。

そういえば、耀子やシドは凌馬の直接のスカウトだったんですね…

結論:やっぱりすべての元凶は凌馬


にしても金田監督は佃井さんにはどんどん無茶ぶりするなー。壁降りて。
1のときのゲストが河合我聞さんといい、今回は鳥羽潤さんといい、世代としてけっこうな衝撃を食らっています。いや、わたしの中で永遠の若手イケメン俳優枠だったから…それがいまや大先輩としてゲストになるんだという時間の重みへの驚きが…

ナックル編

カリスマ亡き後、いかにして教団が形成されていくのか、というお話でしたね。(待て)
その亡き後、変な風に解釈されてカルトの象徴扱いにされちゃうというあらすじ、ものすごく戒斗さんらしいし、戒斗さんという男のダメな部分が全部詰まっている話だと思う。

あらすじはざっくりこんな感じ。

過去を背負い歩き出す覚悟を決めたミッチ。パティシエとして着々と修行を積んでいく城之内。
ビートライダーズがそれぞれの道を歩んでいく中、戒斗亡き後のザックとペコは行く先を見つけられずにいた。
そんな現状を打破すべく、ダンサーとなるべく単身渡米するザック。
しかし、その陰で、沢芽市では戒斗の後釜を狙って新たな陰謀が動き出していたのだった…

今回の黒幕は、戒斗がチームバロンを作る際に追放したシュラという男。
っていうか、最初ダンスの話だったのに途中から地下闘技場の話になるあたりがすごく『鎧武』である。

冒頭でも書きましたが、これつまりは、追放されたシュラと正統の二代目たるザックの戒斗の後継者争いの話なんですよね。
で、単なる後釜争いではなく教団形成になぞらえたのは、シュラがあまりにも戒斗を崇拝しちゃってるから。あとデューク編に出てきた「黒の菩提樹」も関わってるし、制作側も意識はあると思う。

シュラの崇拝のしかたは、あまりにも独自解釈すぎて、「わー、カリスマ(初代)が特に指針残さなかったときに出てくるタイプのやつだー」となった。

新しい教えというのは、初代のカリスマ性に依るところが多いので、その人が死んじゃうと「初代が生きてたら聞けるけどもういないし…この問題はどう解決したらいいんだろう?」となっちゃうんですよね。
それで、初代の残した文献や言葉を集めて明文化して今後の指針にしようということになり、それが教団という組織を作っていくわけですが。
何分、本人がいないので、言葉の断片を取り上げて「あの人は本当はこう言おうとしていたんだー!」とぶっとび解釈を生み出しちゃう奴も出てきてしまう。シュラは明らかにこのタイプ。

組織の二代目の正しい仕事というのは、そういう歪みや逸脱を取り締まったり融和させたりというものなので、つまり今作のザックくんは正しい。
というか、戒斗を認めながら、崇拝はしていないので、ザックはとても有能なサブリーダーだったし二代目だと思う。よかったねチームバロン、こういう人がいてくれて!

戒斗的にも、たぶん同じ道を歩もうとか考えるだけで後継者失格だと思う。
そうじゃなくて、「真の強さ」とはなにか、それを自分で考える人間が後継者足りえるんだと思うよ。それは一般論としてではなく、戒斗の性格ならきっとそう考えると思う。

あとまあ、個人的に戒斗の道は危ないので出来れば誰にも継いでほしくないと思う。

けどまあ、シュラの気持ちもわからんでもない。
やってること滅茶苦茶だけど背後にはちゃんと筋があるんだ!とか言い切られたら、カッコイイ…!となるのは、まあ、あるよね。
自信満々な奴には妙な魅力があるものだから…
でもやっぱり、ダンスチーム乗っ取るのにいきなり殴りかかってくるの、本当に戒斗さんイズムとしか言いようがない。そこはダンスバトルじゃないのかよ!

この先もこういうこと多そうだし、ザックには今後も頑張って欲しいと思います。ダンスをしながらね。
なんとなく、最終回のミッチの言葉「紘汰さんはもういない。だから、自分がヒーローにならなくちゃ」を思い出したよ。

結論:戒斗はもう本当にハタ迷惑


あとざっくり感想。
ザックがなぜダンスをするのか、というあたりがしっかりと語られており、『鎧武』の補強としてザックの補強としてとっても良かったです。
まあ、ちょっと悪ぶりたいお年頃、戒斗みたいなやつが出てきたら靡いちゃうのかもね。
そして自分はどうすると考えて行動できるザックに対し、流されることでしか道を見つけられないペコというのは、映画のときもそうだったし、納得。
そんなペコの話としても目くばせがちゃんとあり、ザック編はチームバロンの話だったなあとしみじみできました。

ザック、体がムキムキで感動した。こうなったら小林豊さんだけじゃないか鍛えていないの…(言うな)
でも終始、セリフが芝居がかって、力入れ過ぎだよ!ってなった。

シャルモンのおっさんの乱入がかっこよすぎて、多分この話で一番キャー!ってなった。タイミングがバッチリすぎる。
そして城之内は逃げ足が速い、さすがである。



というわけで、二本続けてみた結果、わたしの感想は「宗教組織がいかにして作られていくかのお話だったなー」でした。
次があるとしたら、たぶん「黒の菩提樹」はきっと絡んでいくだろうし、ますます『鎧武』第二世代(紘汰、戒斗、凌馬など主要人物がいなくなった後)の話になっていくのでしょうか。
…でも、先代を乗り越えたり後を継いだりする話は数あれど、先代が偶像視されそうになるのを何とか阻止しようとする話というのは、なんかこう生々しいな…