double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー

このVシネマは、チェイスファンの、チェイスファンによる、チェイスファンのための作品である。

あらすじは、人間の心を持ちたいと切望するチェイスの願いを叶えるロイミュードが現れて…。という話。
なにげにさりげにロイミュード陣営の一枚岩ではない姿も描かれていて、本編ではどうしてもうかがいにくかった敵側の状況も把握できるのもポイントです。

どこを切ってもチェイスの魅力たっぷり!

『ドライブ』を見ていてチェイスそんな興味ないって人も少ないでしょうから(断言)、このVシネは『ドライブ』を見ていたなら9割の人が楽しめると思います。

わりと普段だと、「ファンはこういう姿が好きだよね」とか「こういう姿もおもしろくないかい?」というボールのやりとりなんですけど、このVシネはスタッフの「チェイスが好きです!!!」という姿勢で作られているのが特徴的。どう考えても脚本から監督までチェイスを愛しているとしか言いようのない。

しかも作り手の愛が強すぎると、視聴者にとってはたまに辟易するシーンもあるのですが(イジリすぎ、壊しすぎ)、このVシネにはそれがない!

しかしそれはおそらく、チェイス役の上遠野太洸さんによるところに多いでしょう。

どんな姿を振られても、それをチェイスとして呑み込み、演じ切る。根っこが変わらないから、わたしたちも安心してみていられる。
っていうか、たぶんスタッフは上遠野さんのことも大好き。上遠野さんの演じるチェイスが見たくてたまらないのが映像に溢れております。

普段のチェイス。エンジェルの力によって人間の心を持ったチェイス
それだけじゃなく、プロトタイプのころの000としてのチェイス。人間の心を持ったまま変身した超魔進チェイサーとしてのチェイス
なにがすげえって、上遠野さん、声、全部違う!!!
だいたいもともとのチェイスの「一定で低く抑えた声色」を実現しているだけですげえのに、それのバリエーションて。
もうほんとう、チェイス七変化を堪能いたしました。

なぜアンドロイドは人間の夢を見るのか

とまあ、キャラで大はしゃぎなわけですが、内容もしっかりしております。
本編でも何回も出てきた、「人間にあこがれる」チェイス。その願いの終着点が描かれております。

単なる「人間ていいな」という気持ちではなく、人間を守ることが使命であるチェイスにとって、「人間を理解したい」という願望は切実なもの。
ここで、その大きなきっかけとなる相手が、少女ではなく少年だったのが、よりチェイスの純粋な気持ちが伝わってきていいなーと思いました。まあ、チェイスの心のヒロインには霧子ちゃんが来るわけだしね(時系列的にこのVシネマの後になる)。

少年を救うために非情のアンドロイドに戻り、その結果、一度は心を通わせことは破棄され、二人の道は離れていく…
という浜辺のシーンは、『アギト』の涼を思い出して切なくなりました。
でもここで、少年に「このチェイスさんでもいいよ!」と言わせなかったのは良いなあ。
強大な力をふるうものは恐れられる。けれど、それでしか守れないものもある…

また、ベルトさんやりんなさんが「人間ってそんないいもんでもないよ」「君の方が優れているのだよ」とハッキリ言っちゃうのも良かったし、ハート様の「お前は誰かに認められないと戦えないほど弱いのか」も超グっときた。
チェイスが心を欲する第一の理由が「人間って素晴らしい」ではないところもきっちり言明しているし、単なるアンドロイドVS人間みたいなところがなかったのがいいな。
チェイスチェイスとして存在する。その評価。

ロイミュードは軍団か

さて、チェイスは特状課の仲間になる前は、「死神」としてロイミュード内部での粛清者として動いていたわけですが。
なんでそんなのが必要かというと、ロイミュードたちは同じ種族といえども、一枚岩ではないからなんですよね。
ハートは指揮官として君臨しているように見えるけど、その方針に馴染まないやつもいるし、ハッキリと対立するやつもいる。
本編では、ハートの指揮下から離れちゃうロイミュードが小物だったのであんまりピンとこなかったけど、今作では集団で対立してくるのでその辺がよく伝わってきました。

ハートも悩みながら、自分の行く道を決めていたんだなあ…
ますますハート様への敬意が高まった。堅固なる思想を持つカリスマもいいけど、悩み模索しながら理想を形にしていこうとするリーダーも憧れる…

今作の敵たるエンジェルは、最終的にすべての対象を自分に同化させようと暴走するという。
なんだか『フルスロットル』からこっち、この手の敵が多いなあ。
人間の狂気にロイミュードが呑み込まれていく様がよりハッキリ描かれていて、ハートってやっぱり特異なタイプなんだなーと実感した。

風都は東京都と隣接地域なのか

照井が出るよ!って聞いて、なるほど、お偉いさんとして出てくるんだな、と思っていたら…

警察の縄張り争い!ベルトさんじゃないけど古典的な!
刑事ドラマ度がさらにアップして爆笑しました。うまいな〜!

めっちゃ照井にらんでくるし。そりゃ怖い。
ところで、剛と照井にはさまれてよりハッキリしたけど、進ノ介(というか竹内さん)デカいな〜!
背が高いというよりデカいという言葉の方がしっくりくる。でも顔はちっさいんだよね…

そしてそういう使い方なのでド―パントが出てきたのが嬉しい驚き。
単なるゲストじゃなくて、世界観が交錯するのがいいですね。

そして照井夫妻に子どもができていたことが判明!
あそこは笑うところだったと思うんだけど、でもなんかほっとしたよ。
照井は家族について悲しい過去があるから…今こうして自分の家族を持てて良かったね、って。
次あたりは背負いひもで赤ちゃん背負って出てきてほしい。似合うと思う。

あとまあちょいちょいと感想

安定の吹き出し芸。剛かわいそうすぎてずっと笑ってました、ごめん。

顔を隠してバタバタするチェイス。お宝画像か。

ブレンのいじられ度も上がっていた。もっと見たいな!(おい)
倒れたハートを連れて行こうとして諦めているのに爆笑。もう膝枕すればよかったのに。

いじられるのはなんとメディックまでも。遊ぶなよかわいいだろうが!
これも終盤、馬場ふみかさんがものすごい覚醒をしたからなんだよね。Vシネのおかげでこういう姿も見れて嬉しいな。
でもお胸のパワーアップて…そしてロイミュード相手だから特に効果はないって…

松岡さんによる主題歌が切なく、チェイスの姿によく似合っていました。

次のハートとマッハの話も楽しみですね。