double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

仮面ライダーエグゼイド あらためて感想

先日、ひじょうに不遜な評を『エグゼイド』に対して述べまして。
ご指摘を受け、このままではいかんと思い、あらためて『エグゼイド』をじっくりと見直すことにしました。
『エグゼイド』に向き合おう!『エグゼイド』のことをもっと考え抜かなければ!

というわけでその感想です。とりあえずキリのいいところで運命の変転する12話まで。今回は冷静に。

造りのしっかりした番組

あらためて通して見てみると。よく出来てるなーというのが第一声でした。

謎のゲーム病とライダーベルト&ガシャットというアイテムとにまつわる陰謀。そしてそれを取り巻く様々な立場の医者たち…
設定と構成はかなりがっちりとしているんですよね。適合者、とか、幻夢の社長がどういう立場か、とかを、まずはちらっと見せてから、次の話(もしくはもう少し先)で説明する。チラ見せをあまり放置しないというか、伏線をきっちり伏線として使っているというか。
作りながら走っていくことの多い平成ライダーにおいては、かなり硬派な印象を受けました。

二等身ライダーとか、ポッピーピポパポ(合ってる?)とか、画面は極彩色でポップなんですけど、やってることは理詰めなんですよね。
けっこう、細かいところまで詰めて考えて作ってる感じ。
大我もそりゃキレるよな…みたいな気持ちにもなりました。

でもなんか印象が薄い

しっかりしすぎている、のかもしれないなあ。
なんでしょう。こう、メリとハリがあまり強調されていないというか。

たとえば。永夢の二つの人格なんですけど、「変わった!?」みたいな気にならないんですよね。普段は頼りないけど、ゲームとなると尊大になる、なら伝わるんですけど、ゲームとなるとちょっと強気になるくらいの印象なんで。いや、よく見ればココとココが対比されてるよ!というのもあるかもしれませんが、もうちょっとドカンと差がないと…

登場人物も、俺様執刀医とか闇医者とか嘘つきの監察医とか、しっかり設定がありキャラが描き分けられているんだけど、その表現が穏当で、ドカンと記憶に残らないんですよね。

というのは、画面が極彩色でポップだから。そしてこれが仮面ライダーという番組だから。

要素が多いんですよね。特徴だらけ。そこでお話や登場人物の印象も付けようとしたら、大げさにしないとならないんだ。

これは今回、あらためて『エグゼイド』を見ていて気付きました。そうか…今までのぶっ飛んだ演出とかキャラ付けとか、必要性があったんだな…いや意味があったのは重々承知なんだけど。やらなきゃならないことだったんだねえ。
イイ奴がイイ奴なのは当たり前だもんね。どんな風にイイ奴なのか、知りたいものね。
設定がしっかりしていれば大丈夫、というわけではなく、「見せ方」というのはやっぱり重要ですね。

この「言わなきゃ伝わらないよ」というのは、患者たちに通じるものがある…
きみら、ストレスの原因が似通いすぎだ!大事なことを隠して突っぱねる・耐え忍ぶ、というのが美学なのはわかるけど、周囲の人間にしてみれば困るだけだよ!!!ていうか、すれ違い方が昭和過ぎる…21世紀なんだし、もう少し進歩的に対話しようぜ!
正直、ゲストパートが予定調和すぎて個人的にここがつい流し見してしまいそうになる大きな原因だったりする。
本筋や主な登場人物はしっかり作っているので、ここも整備してほしいなあと思う。ゲストパートもしっかり立てることで絡める物語や登場人物も立つんだからさ。

あらためて見直して

丸一日腰を据えて、じっくりと『エグゼイド』と向き合いました。ちなみに有給を使った。なにやっとんじゃ(いや消化しなくちゃだったので)。
わたしは、無難っていっちゃったんですよね、この作品について。
ただそれは、詳細な分析は省いての一足飛びの感想でした。
今回、あらためて見直して。細かく、よく作っているな、と思いました。ここは本当に認識不足だった。
そして、なぜわたしが見直すまで印象に残らないと思ったのか。見せ方が、穏当なんだ。

愛着というのは、隙に湧きます。眺めていて思わずツッコんだり、気にしたりすることで、存在感が増していくのだと思います。
そして、そこから、キャラクターの生きざまが立ち上がってくるのだと。

『エグゼイド』には隙が少ないのだと感じます。
展開がポンポン進んでいく一方で、キャラをじっくり見せる時間が少ない、というのがまずあるうえで。
飛彩がリズムゲームができなくて身動きできなかったのはちょっとおもしろかったけど、ただ棒立ちになっているだけだったから、印象に残らなかった。幻夢の社長も、「水晶のようだね」とか言い出した時はヘンな人だなと思ったけど、それ以外では特にポエムは語ってくれなかったし。パラドの「心が躍るなあ」はポテンシャルを感じるので、不意を衝いた瞬間に出してほしいと思います。
ポッピーピポパポとか、衣裳と名前は飛び道具だけど行動は常識的だし。
煽らない、というのもあるな。やっぱり、ハッタリはある程度必要なんだなあ。

設定を作りこむことと、見ていて楽しいものを両立させるのは難しいことだと思います。あちらを立てればこちらが立たず。
設定を作り込み、しっかりとした構成で進んでいく、というのはこれまでの平成ライダーでは叶わなかった部分なので、『エグゼイド』の見所はそこなのかもしれないな。
でもせっかく変なことのできる枠なんだから、変なことしなよ!とは思っちゃうんだけど。まあそれは単にわたしの好みの問題だな…

ともあれ、今回見直したことにより、『エグゼイド』としっかり向き合えたと思います。どこがいい面なのか。そして、どこが引っかかる面なのか・どうして引っかかるのか。
自分にとってそれほど…なとき、深く見れないのはしかたのないことですが、それで放言してはいけませんね。そういうときはただ距離を置けばいいのだと、わかっていたつもりだったのですが。たくさん感想を書いて、自分は見抜けるんだ!と驕りが生まれていたのでしょうね…ごめんね『エグゼイド』。
うむ!