double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

小説 仮面ライダーキバ

風と雨がすごい〜@東京
なんか荒れ気味ですねえここ最近。


著者:古怒田健志井上敏樹
出版社:講談社 (2013/3/7)
ISBN-10:4063148599
ISBN-13:978-4063148596

読んでいる最中、場面に合わせて『キバ』のサントラが頭の中で流れていました。
『キバ』の音楽好きなんだあ。

まさしく正しくノベライズ。ノベライズとして本作は優等生!古怒田さん、いい仕事した!『DCD』のカブト編の脚本家さんですね。あれもいい仕事だったもんなあ。
完全に組みなおされていた『アギト』とはまた違って、整理と取捨選択はされていても人物の立ち位置、要素、展開は本編と同じ。よって『キバ』風に言えば変奏曲と言ったところでしょうか。

本当にしたいこと。それは正しいと思えること。
――ではなにが正しいことなのか?
本編と同じく22年前と現在が交錯しながら、紅 渡が人間とファンガイアのハーフとして、仮面ライダーキバとして、己の為すこと、為したいことを見出していく物語。

いやー次狼しぶい〜かっこいい〜(そこか)
音也は本編よりも完璧な人間として描写されていますね。
渡はより繊細に。心惹かれるのは愛のためなのか食欲のためなのか、で苦悩する部分は『DCD』のキバ編を彷彿とさせますね。吸血鬼のアンビバレンツ!
渡と静香ちゃんとの交流が軸となっております。この静香ちゃんと渡が親しくなる冒頭部分のエピソードは本編でも欲しかったなあ。

やっぱり恋愛が軸になってるのはほかの敏樹作品と同じなんだけど、まあそもそも『キバ』は本編がそういう話だったので。

残念なお知らせとしては名護啓介が初期設定であること。ファンの人、どんまい!太牙も出ないしなあ。キバットもいない!…でも実はわたし、渡が変身するまでキバットがいないこと気付いていませんでした(爆)。逆にいえばそれほど独立した作品として読み応えがあったということなんですよう。

愛と自由を体現する父・音也、絶対正義の信奉者・名護、そして人間とファンガイアの対立関係(静香ちゃんの回想エピソードはいい!)。
はっきり言っちゃうとこのノベライズの方が筋が通ってまとまっている(笑)。「こっちのほうがいい」と言う人が多いだろうなあ。『キバ』はあんまり…という人にこそぜひおすすめしたい
でも擁護するわけじゃないけど、まとまっているっていうことは、広がりが制限されているということでもあり、本編のあの不思議な愛嬌みたいなものはここにはない。だから、当たり前の話なんだけど本編とノベライズは同じで別物なんだよね。
『キバ』ってほかのシリーズと比べてゆらぎの部分が多いと思うのですが、それゆえ、本編は本編、ノベライズはノベライズで楽しめるような気がします。多様な楽しみ方ができる、それが『キバ』らしさ、『キバ』のおもしろさなのかな、ってあらためて思いました。

同じ敏樹氏プロットだと思うと、そういうのはいけないと思いつつ『アギト』と比べてしまうぜ…いやいやだめだめ(汗)。
古怒田さん、経歴を見ると雑誌『宇宙船』の記者さんだったんですね。たぶんですけど小説書いたことがあるんじゃないかな。二次創作とか。そんな気がするなあ。

それにしても章扉が右に来るってのは珍しいなあ。