double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

『小説 仮面ライダーシリーズ』全巻刊行記念感想(総括)

全12作刊行終了!

うむ、揃った。カラフルだな〜。
せっかくなんで締めに全体で語ろうかなと。シリーズとしてどうだったか。

あらためて。このシリーズは平成ライダー第1作『仮面ライダークウガ』から第12作『仮面ライダーオーズ』まで各一冊ずつ小説にしたものです。といっても、単純に本編を追うだけではなく、こぼれ話あり、後日談あり、番外編ありとバラエティに富むラインナップになっています。
おもしろい試みでしたねえ。類例はないんじゃないかな?ただ、なんでこの時期に、っていうのが謎ですが。なにか区切りの年ってのでもないし…。『ディケイド』の反響を得て企画されたのかな。まあわたしは大好きな『オーズ』が含まれていたので満足ですが。
いや、なんかせっかく豪華な企画なのにいまいち平成ライダーそのものの活性化につながっていないようで勿体ないなあ、と。だって『クウガ』の後日談ですよ?『ファイズ 異形の花々』の続編ですよ?

それにしてもやっぱり『ディケイド』のピンクはインパクトあるなー。ジャケットの色が作品に合わせててそういう細かいところ好きですね。『カブト』と『龍騎』は同じ赤でも違うんですよね。でも『ダブル』と『オーズ』の違いは分からない…。『クウガ』は黒より空色にしてくれたら嬉しかったなー、『ファイズ』とかぶってるし。
帯の背の文字、基本は白なのが、『電王』だけジャケットが白に合わせて黒になってるんですね。細かい!


総合評価

さて実際の内容はというと。どれもおもしろかった!やー、これ企画として成功だと思いますよ!マジで。
なぜならどの作品も本編に対して意味を持っていたから。単なる娯楽の消費としてではなく。読む意味というのがありました。

もともとノベライズというものに信を置いていなかったのですよ…
だって大概は聞いたことのない作家さんが本編の筋をダラーっと追うだけで、一回見た作品を文字で追う以上の意味がないんですもん。小説としての面白みもないし。
オリジナルエピソードでも、書き手が元の作品に係わってるわけじゃないから飛躍があったり誤解があったり誇張があったりで、「わたしの知ってるのと違う!」!
まあそんな風潮も、さすがに業界もいかんと思ってくれたのか最近では名のある作家さんとコラボ的に組むことが多くなりましたね。まあそれくらいの品質が保証されてないと読む気がしない…

で、この『小説 仮面ライダーシリーズ』も正直期待薄でした、最初は。書くのは小説家ではない、脚本家のみなさんだって言うし。…でも蓋を開けてみれば!

まあぶっちゃけこのシリーズも小説っていうよりは脚本みたいな文章なんですが。でも大事なのはファンとしてそれを読む意味があるのかだと思うんですよ、特にこうしたキャラクター作品のノベライズって。そりゃ文章がうまいに越したことはありませんけど。
知ってるキャラクターが出てればそれでいい、ってのでもありません。そんだったら二次創作で探せば品質が高いのはいっぱいあるでしょうし。公式でやる意味、というのをわたしは問いたい。
書き手の独りよがりではなく、単なる消費物としてではなく。各作品とちゃんと向き合ってくれていたからわたしはこのシリーズを評価します。

たとえば、本編で余韻として残された課題がすべて完結する『ブレイド』。とうとう自分探しを終えた主人公がその後どうなったかを示してくれる『オーズ』。『ディケイド』は、これが正史というわけではありませんが、やっと一つまとまったお話を手に入れたということは重要です。
こんな風に、テレビ本編と向き合ってくれたというのはファンとして嬉しいことです。だって、わたしたちは本編に思い入れがあるのですから。
どの作品も、おおむねファンは満足だと思う。
まあモノによっては賛否両論あるモノもありますし、わたしのそれは各作品の感想記事で確認して欲しいんですが。それでもやっぱり、12作あってほとんどが意味を持っているってのはたいしたことだと思います。


どれか一つを選ぶなら

さて全部で12作ありますが、この中でどれか一つを選べって言ったらなんになるかなー。
どの作品のファンであるかが大きく係わる気がしますので、それを抜くと、わたしは『ディケイド』を選ぶな。なぜならこれが飛びぬけて小説をやっているから。上で「文章力は問題じゃない(キリッ)」とか言っといてですが、兼ね備えてくれていることに越したことはないじゃないですかー。
本当、これだけ異質なんだよな。
平成ライダーを知らない人に参考にしたいから一作読ませて、って言われたら、『ファイズ』かな。まあこいつはちょっと例外の出自だけども。これも収まってないですよね、良い意味で。


分類してみました

各作品をこんな感じに分類してみました。なにかの参考にどうぞ。

1:後日談、2:番外編、3:本編を小説化

クウガ』…1
『アギト』…3
龍騎』…3
ファイズ』…3+1
ブレイド』…1(2)
響鬼』…2
『カブト』…3+1
『電王』…2(1)
『キバ』…3
『ディケイド』…3(2)
『ダブル』…2
『オーズ』…1


刊行予定の迷走について

それにしても初期の刊行作の帯の後ろにある刊行予定が変わりまくってて今見るとちょっと笑えますねー(←性格が悪い)。
2012年11月から刊行を開始して2013年4月に終わる予定だったんですよ?結局、一年近くかかっちゃったよ。
長く楽しめたからわたしはいいんですけどね。でも、お目当てがあった人なんかは振り回されて大変だったろうなあ。前にも書きましたが、まだ原稿も上がっていない段階で12作の予定を明記するのが危険行為。しかも、このシリーズのレーベルである「講談社キャラクター文庫」、毎月の刊行日決めてないんですもん。まあこのシリーズのためだけに創設されたみたいだからわりと見切り発車だった気配がするんですが。
毎月の刊行日だけ決めて、あとは最初のラインナップだけ紹介して次回以降は随時報告、っていうのが良かったんじゃないかなー。そしたら、買う人は本屋に定期的に行きさえすればいいんだし。
まあいろいろと手探りだったんだろうな。本当に平成ライダーは前例のないことばっかりするチャレンジ野郎だぜ。

刊行は『オーズ』でストップしてますが、なんかいずれ、しれっと『フォーゼ』以降も出しそうな気がする。


みんな大好きだな、もう

それにしてもこの公式っぷりというか本編との関連性の高さは、これはひとえにすべて本編のスタッフが著者として係わっていること、がポイントなんでしょうな。
とはいえそうではあってもここまでの雰囲気はなかなか出せない。
なんつーか、イベントやら主筋やらを追うためにファンの妄想を飛び越えていくのが普通の作品作りだと思うんですけど、こと平成ライダー関係においてはスタッフがファン以上に隙間を埋めようとするんだよなあ。公式だというのにただよう二次創作臭…
あれだな。きっと作り手が一番のファンなんだ。それだけ思い入れがあるんだろうな、平成ライダー各作品には。

楽しかったです!


リンク集

最後に、手前味噌ですがわたしの各作品の感想のリンクを貼っておきますー。『アギト』と『クウガ』は辛口なんで注意。ネタバレ以降は基本的に読んだ人向けに書いてます。
小説版クウガ感想小説版アギト感想小説版龍騎感想小説版ファイズ感想
小説版ブレイド感想小説版響鬼感想小説版カブト感想小説版電王感想
小説版キバ感想小説版ディケイド感想小説版ダブル感想小説版オーズ感想
※放映順。刊行順とは違います。