double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

仮面ライダー鎧武 第46話「運命の勝者」

わたしは何を言えばいいんだ…



ラスト・バトル

紘汰と戒斗――極アームズとロード・バロン、二人のオーバーロードはそれぞれの目指す未来のために魂をぶつけ合う。
たぶんいま、この地上には、二人のことを理解できるのはお互いしかいないんだろう。

舞が並行世界で見守る中、ついにその死闘の決着がつく。

バロンの強大な力により、極アームズが膝をつく。
だが。そうだ、鎧武はいつも、傷を受けながら反撃をするんだ。
バロンの剣を折り、その切っ先で逆に相手の腹を突く。決死の、捨て身の、一撃。
その瞬間、運命の勝者は鎧武に決まった…


ここ、前回で対決を明確にしておいたおかげで、もうごちゃごちゃしたことは言わせず、決戦に集中させたのは良かったですね。
ある意味で二人は純粋だった。
それにしても、佐野さんの喉から血が出そうな唸り声もだけど、小林さんの雄叫びがすごい…普段あんだけふわふわした人だというのに。
並行世界ではオレンジアームズとバナナアームズ、っていう見せ方も良いな。ラストバトルっていつも基本フォームがないがしろにされがちだから。

バロンを刺した後、その姿勢のまま息を荒げている鎧武が、なんかすごいなって。だってもう、「かっこいいバトル」じゃないよ、あれ。「大事な人を刺してしまった普通の人」だよ。
で、オーバーロードの姿を維持できなくなって倒れこむ戒斗に飛びつくように支えに走る紘汰がね…もう、我慢できなくなって飛んでいくようでね。

なぜだ…葛葉
何がお前をそこまで強くした?

守りたいという祈り
見捨てないという誓い
それが俺のすべてだ!

…なぜ泣く

泣いていいんだ
それが俺の弱さだとしても
拒まない
俺は 泣きながら進む!

…お前は…本当に強い

もうね、ここの紘汰の声と戒斗の目がね。
ちゃんと終わってから改めて書きますが、虚淵さんの書く台詞って小説的なんですよね。文語調。
だから、ちょっと登場人物にしゃべらせると違和感が出るのですが…ここもそう。
でもね、もうここはね、佐野さんと小林さんが全部引き受けてるからね。不問!


紘汰をあらためて認めると、戒斗は、にやりと笑って目を閉じた。
憎しみという諦めしか抱けなかった戒斗。最後に優しさに倒されて、たぶん満足したんじゃないかな。ほかの何に倒されるよりも。

はじまりの二人・新しいステージへ

さて、約45話かけてみてきました黄金の果実争奪戦も、これにてついに決着がつきました。
並行世界から戻ってきた舞と知恵の実を手にした紘汰。黄金の果実に口をつけ、とうとう紘汰は始まりの男へと進化を遂げた!

いやー、しかし、ここで見せた紘汰の選択にはびっくりしましたね。
進化は淘汰を必ず含む。だからオーバーロードとなった二人はこの惑星の支配者になる…はずでしたが。
まさかの。旧世界はそのまま残し、自分たちはインベスを連れてほかの惑星へ移住するとは!

ううむ、よく考え付いたなー紘汰。でも、考えてみれば紘汰らしいや。新しいステージを探しに行く、っていうのは。
ここになければほかに探す。そういう生き方をしてきたものね、この一年。

蛇と呼ばれたサガラでさえも目を剥く選択。けれど、そのサガラですらもなんだか楽しそうだ。
言祝ぎさえももらって、紘汰と舞は地球から旅立つ。「いつだって未来は闇の中だ だからこそ…光を灯しに行く価値がある」。そうだね、二人の信じた希望はそれだ。
だから…
ああ、だから…


ああ、さようならと言うのは辛い。でも、二人は前を向いている。

『鎧武』は自己犠牲の話か否や?

今回のこれを、果たして自己犠牲と呼ぶのかしらん?と、日曜日からずっと考えていました。
命溢れる星を追われ、荒野に旅立った一組の男女。それは確かに、彼岸への旅立ちですが。
でも、なんだろう。これは、犠牲ではない、とわたしは思いました。
それは、舞というパートナーが一緒にいるから、という理由からだけでは決してない。
紘汰は前を向いているから。自分に対しても希望を抱いているから。だから、犠牲ではないのではないかな、とわたしは思うのです。

紘汰は言った、「これが俺の新しいステージだ」と。
もしかしたら、わたしたちは置いて行かれたのかもしれないね。

ついこの間まで、ただの陽気な若者だった紘汰と舞。その二人が、いまやこんな過酷な現世離脱をすることになって、やっぱりわたしはすごくせつない。
だけど、二人はもう肚を括っているのだ。たぶん、泣く必要すらきっとないのだろう。
そうだ、紘汰は大人になったんだ。子ども時代を知っている人間が一方的に懐かしんでしまうのは、仕方のないことなんだろうね。

行きな、とは、まだわたしには言えない。だけど。
二人の未来に幸多かれと、それだけは祈るよ。

平成ライダー15作目。新しいヒーローの未来を見せて貰えて、わたしはすごく満足だよ。

そして、次回

復興する沢芽市とか、ザックやっぱりイイヤツとか、初瀬ちゃんを探す城之内とか言いたいことはいっぱいあるけどまとまらないからやめておきますが。
わりと、いつもの平成ライダーならこれで終りそうなところで、来週があるのですと!?
まるまる一話後日談で終るとは、どこまで『クウガ』なんだ…

さて、その見所は、やはりミッチこと呉島光実の去就ですね。

いやー、しかし、兄さん生きてた!すげーなこの人、マジでタフだな!
しかしもう三途の川渡る寸前でしたがな。引き止めたのは…オーバーロードと化した紘汰。

ミッチを導いてやってくれ、という紘汰に泣く。
そうかあ、貴虎は、わたしはずっと紘汰と接戦を繰り広げるのかと思っていたけれど、同志という立場なんだな。
そういえばこの二人、共闘したのはわずか一、二話しかないんですよね。それなのに、この互いの信用度の高さと言ったら!
うう、せつないなあ。

こんな俺でも違う自分になれたんだ
変身だよ、貴虎!

そして目を開ける貴虎。
それを見た時のミッチの表情のすごさといったら!高杉さん本当に逸材だな…

いまの自分が許せないなら 違う自分になればいい

この言葉が、変身の意味がミッチに届くのか!?


そして次週、最終回。
予告でもう泣きそうなんですけど…

余談1

感動しきりのわたしですが、それでもやっぱり気にはなる。紘汰の金髪似合わねー!
「なんだろうあの染色…はっ、そうだ、裕也!そうか、つまり裕也は始まりの男だったんだよ!」
っていうワケのわからないネタを思いついてしまい、ずっと頭から離れないという憂き目にあいました。
つらいので、このネタを著作権フリーとして放流します。使ってイイヨ!

余談2

進路希望1:新世界の神

というネタも思いついたので放流します。

余談3

貴虎兄さんのまつ毛、上も下もふっさふさ…!
ということに意識を持っていかれかけて、やっぱりいいシーンなのに苦労した。助けて邪念!

余談4

全然上三つとつながらないけど、入れどころを逃したのでここで。
「戒斗の理想は正しかった」って、主人公がライバルの考えを全面的に受け入れるの珍しいなーって。
「ただ道筋を間違えただけだ」というのに、そうかあ、と思いました。
ミッチもそうだ。出発点は純粋だったのに、結果さえ出せればと暴走した結果が、これだもの。
なんか三か月後のミッチ見てて、「新興宗教に入れ込んだ挙句、予言が外れて茫然自失している元信者」という連想が浮かびました。たぶんほぼ合ってる。

手段も大切なんだよ、と言ってくれるお話はあまりないので、そこに注目。
そうだよな、『鎧武』は、そして紘汰は、ずっと「正しい道」を探してきたお話だ。それは即座に答えを出せるものではなく、いろんな人をやきもきさせたけれど。でも、探ろうとする姿勢、それが大事なんだと、わたしは『鎧武』を見てやっぱり思う。
結果だけで救えるものって、もしかしたら少ないのかもしれないよ。