double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

永遠の平成仮面ライダーシリーズ 語ろう!クウガ・アギト・龍騎


出版社: カンゼン (2013/7/2)
ISBN-10:4862551785
ISBN-13:9784862551788

「平成仮面ライダー初期3作品への思いの丈を7人の論客が縦横無尽に語り尽くす」
というわけで、その7人のラインナップに惹かれて買ってみました。

結論から言うとおもしろかったです!硬めにやるのかと思ったら、本当に楽しそうに話すだけ(笑)。なんだけど語り手がみなさんとてもしっかりした思考の方々なんで、その中身が批評性を獲得しているので読み応えがありました。『ユリイカ』がおもしろかった人には特におすすめ。
トーク集ではあるけど、内輪向けのぬるいor持ち上げすぎなものになってないのが好感度高し。聞いたことない出版社だったんであんまり期待してなかったんですけど、良い本でした。すみません。

7人それぞれがそれぞれに得意な作品っていうのがあるんで、3作品うまく分散して語られていていいなーって思いました。
どの方も「好みはある」のは前提で、比較しての批判はいっさいされていないのがさすが。当たり前のことではあるんですけど。

本当にみんな好きなんだな!
しょっぱな宇多丸さんが『アギト』を褒めたたえすぎていて吹いた(笑)。そんなにか…そんなにかライムスター!語り合いたいけどたぶん負ける(笑)。
しかも『555』の「夢の守り人」に影響を受けて曲を書いた…ってそんなにか!素晴らしいな!
ラップはノーマークだったんですけど俄然、興味が出てきました。今度CD探してきます!

これ人選がんばったよなあ。旬な人たちってのは今出す意味があって良いし、でもただ旬ってだけじゃなくて本当に平成ライダーファンだし。
各人のファンにもおもしろいと思うな。「自作を語る」みたいなインタビューじゃ絶対出てこないような話してますから。人間誰しも、好きなものを語るときは無防備だなあ(笑)。


初期3作品が作ったもの

さてちょっと突っ込んだ話。
初期3作品という括り。これがどの程度詰められての発想なのかはわからないのですが、結果としてすごく良かったんじゃないかと思いました。
平成ライダーがなんでこんなことになったのか/なっているのか」を考える上で

当たり前ですけど始めから目指してこんなヘンなものが出来ているわけではないんですよね。このヘンが生まれる流れが理解できたのがわたしにとって収穫でした。

クウガ』が未知なるものとの遭遇の話で、『アギト』がそれと対峙する人間の話で、『龍騎』で完全に人間同士の話にした……っていうのをおもに切通さんがまとめていたのですが、なるほどなあ、と。
この3作はホップ・ステップ・ジャンプなんだと、つまり。

よく4作目の『555』が一つの区切りって扱いをされるのを見るのですが。でもそれって、テーマ的なもので、ある意味で前3作品の集大成みたいなものなんですよね。
土台を作ったのは初期3作――『クウガ』・『アギト』・『龍騎』なんだということがこの本を読んでよくわかりました。
そんでもって、リアルタイム――というか昭和特撮からつながって見ていた人たちにとって『クウガ』『アギト』がどれほど新しかったかということが。もう、今から――というか特撮の基礎知識がないような身からすると『クウガ』『アギト』はちょい古くて『龍騎』から盛り上がってきたな!みたいな感じなんですけど、真の意味での革新は『クウガ』だったんだな、と。

後追いのファンにはいまいちわからない、当時のことが少しだけ理解できたような気がします。


続編は?

「シリーズ」と銘打ってるのでぜひ続きを出してもらいたいですねー。
とはいえ、『555』・『剣』・『響鬼』の括りの論点がまったく見えませんが(笑)。『カブト』・『電王』・『キバ』の括りは想像可能だし読みたいんでがんばってほしいです!

さて今回7人の人選がとても良かったですが。加藤夏希さんはあれだよな、きれいどころが欲しかったんだよな(笑)。いや加藤さん好きだし内容がある方なんで無問題なんですが。見慣れた人っちゃあ人なんで、この先も女性論客つれててくるなら加藤さんを基準に「えっ、この人が!?…と思ったらこの人すげえ!」みたいな意外かつ濃厚な人選がんばってくれると嬉しいなあ。業界内、絶対いると思うし。
期待!

しかし敏樹氏、原稿チェックなしってかっこよすぎるな!