double standard

平成仮面ライダーへの思い入れを語ります。現在は更新停滞中。

超光戦士シャンゼリオン の 思ひ出

なぜ新年一発目の特撮の話題がこれなのか。
我ながら謎ですが、いつか語りたいと思っていたのでこの機会に。

さて。
このネット社会で知名度も上がってきたようですね。1996年テレビ東京系列で放送された、知る人ぞ知る伝説の特撮ヒーロー番組、それが『シャンゼリオン』です。どういう点で伝説なのかはまたあとで。

さて、わたしはこのブログで何回も、「『電王』で転ぶまでは特撮に縁がなかった」という旨のことを語ってきました。平成ライダー以外の特撮は不案内であることも。
そんなニワカでヌルいやつが、なんで『シャンゼリオン』を取り上げるのか。通ぶっていやがるのか!?いや、違うんですよ。
特撮には縁がない。縁がなかっただけれども。
リアルタイム視聴者だったのですよ、わたし。
…ただし正確には、姉が。

というわけで、『シャンゼ』の思い出・というか、女子中学生にファンがいたんだよこれに、という話。
ちなみに、このブログは身内には内緒でやってるので、万が一にでも見つけられたらわりとピンチなんですけど。

シャンゼリオン』のみどころ

というわけで、わたしが小学生・姉が中学生の時分でした。
「長官が家屋敷を抵当に入れて秘密基地作ってるヒーロー番組があるよ!」
目を輝かせて言ってきた姉をいまだに覚えています。なんかの拍子に第1話に遭遇したんですね。それが始まりでした…


超光戦士シャンゼリオン。それは……世にもちゃらんぽらんな主人公が、特に組織立ってもない人類の敵と意外と戦う物語だ!


もうなんか、どっから説明していいのかわかんないんですけど、すごい話です。特撮ヒーローがどうとか、という以上にぶっ飛んでる。
主人公の涼村暁は「ふんわかいこうよ、ふんわか」が口癖の超絶ダメ男(女好き)。相棒(?)の速水は平成の時代には珍しい真面目でド堅物、本来のシャンゼリオン装着者だったのが、第1話冒頭でなぜか暁に持っていかれてしまう…というのがオープニング。速水、装着者目指してすごい努力していたのに!
人間界を狙う敵・ダークザイドも一筋縄ではいかず。トップがいるわけでもない、よくいえば独立独歩の怪人たちが、おのおのの好みで人間を狙いますが、人間界に潜むストレスで病気になることもしばしば…

もうこの設定でおなかいっぱいになりそうですが、こんなもん序の口。
ダークザイドの存在を見つけるも日本政府にとりあってもらえず、装備の各種は長官が家屋敷を抵当に入れて開発していたり。
変身アイテムをサバと間違えたり。あまつさえその回が好評だったので「2」が出来たり。
後に速水も変身できるようになるも、まったく役に立たなかったり(しかも本人は変身できることすら知らない)

そしてこのちゃらんぽらんな話に拍車を掛けるように、映像が発展途上!
とにかく姉がすごく食いついていたのが、CGが発展途上なことでした。
見たことある人はうなずいてくれると思うんですけど、変身のときの手の動きが驚くほどぎこちないんですよ!肘の角度が絶対おかしい。
役者さんはみな新人で、ただでさえ心もとない滑舌が、オールアフレコのせいで画面とズレまで生じ、それが逆にだんだん味になっていく始末。

とにかく、ぶっ飛んでました。

姉なんかは特にCGのぎこちなさがツボったようで、姉妹でよくあの腕の動きを再現しようとしましたっけ。
いやほんとあれ、もうちょっとなんとかならなかったのか!?

自立した作風

まあそんな風に姉妹で見ていたのですが。
実は小学生のわたしはそんなに…ではあったのです。というのは、『シャンゼリオン』には着地点が明示されていないんですよね。
敵が組織立ってないから、ラスボスというのが存在しないんです。黒岩都知事(世界制服はまず東京都から!)を倒しても物語は終わらない。
それが、わたしには理解できなかったんですね。

あらためて見ると、これはだいぶ大人な話だな、と思います。
ギャグが大人ネタのスラップスティック、というのもありますが。
なんでシャンゼリオンに暁がなれて速水がなれないか、のあたり。いやちゃんとやってるんですよ、この番組。しかしそこで、すごい結論を出してしまっている。ヒーローってのは、出来る・出来ないの話であって、実はそこに正義感は直接関係ない…ってこと。
これ、なかなかすごい話ですよ?暁は女の子ががんばって作ったお弁当を台無しにされたのを見て怒れるようなやつですが、一方でお金もらって怪人である黒岩が都知事になるのを見過ごすようなやつですもの。でも、暁はシャンゼリオンをやれる。

あと、あの最終回ね。
あれもなー。相当、大人のオチですよね。ネタバレは避けたいので、ちょっと見たことのある人にしかわからない話し方をしますけれども。
姉もまた放映当時やはりショックを受けていました。でもそのとき、言語化はなされませんでした。
そして長じてCSで再放送を見ていたとき、あらためて姉はわたしにあの最終回をどう思うか訊ねてきました。
そこでわたしは、あの悲しい終わり方が実は本当の物語の締めとしては正しいのかもしれないよ、というようなことを言いました。
「ああ〜、やっぱりなあ〜!それはわかっていたけど、でもずっと楽しいままでもいいじゃない!」
なんというか、『シャンゼリオン』ってこういう話だよな、と思います。
本当は日常なんて悲劇的でシリアスで、だからそんなことは笑って丸めて楽しんだ者勝ち。
突き放してるなあ、と思うところがあります。

ライダーとの違い

そして月日は流れ、妹の方は平成ライダーにハマるわけです。
いや、知ったときは驚いたのなんのって。というか、『シャンゼ』の遺伝子残ってたのか!しかも、それに自分がハマるのか!
いや、なんと平成ライダーの主なスタッフ…というか、『アギト』『龍騎』『555』のスタッフと『シャンゼ』はほぼかぶってるんですよ。どうも原型とすら言う人もいるようですね。まあ、わかります。

縁ってのは不思議だなあ、とつくづく思います。

ただ、わたしは『シャンゼ』にはそれほど思い入れもそこまでないんですよね。妙なもん見てたなーってだけで。
それはたぶん上に書いたように、『シャンゼ』が突き放したところがあるからだと思います。
平成ライダーは基本的に「若い」話なんですよね。語るまいとしながら、でもどうしてもこの題材に触れるからには語らざるを得ない。そういう青臭さがある。
『シャンゼ』は視聴者をあんまり考えてなかったと思う。とにかく作品としておもしろいものを作ろうとしていたような。
だから、わたしは『シャンゼ』にはそこまでハマらなかったのに、今こうして『龍騎』や『アギト』は大好きなんだろうな。

まあ云々言いましたが、正直『シャンゼ』はそんな真面目に見るもんじゃない(笑)。暁の言うとおり、ふんわかしながら見るのが良いのでしょう。

まだ見ていない方は、一度見てみてもいいのではないでしょうか。セイン・カミュも出てます。

余談

ちなみに姉はいまだに『シャンゼ』の話をするくらいなので、見つかるのが怖くて記事を上げるのをずっと迷ってました。
彼女は萩野さんのことをいまだに「あきら」と呼びます。

あ、そうそう。姉にライダー見せようとしたら拒否(笑)されたんですが。『電王』のサブタイトルがヒネってるんだよーということを伝えたときの反応。
「『シャンゼリオン』じゃん!!!」
気になる方は、wikipediaあたりで二つの番組のサブタイトルをチェックしてみてください(笑)センスが同じ!